東京・池袋の路上で自動車が暴走し、松永真菜さん(当時31)と長女・莉子ちゃん(当時3)をはねて死亡させるなどした事件で、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)罪に問われた旧通産省工業技術院元院長・飯塚幸三(いいづか・こうぞう)被告(89)が初公判で「無罪」を主張しました。
多くのワイドショーTV番組では「人が亡くなられて大勢がケガしているのになぜ無罪主張するのか?」などの理屈を問う声があがり、事件の出来事だけではなく、飯塚幸三被告の言動にも注目が集まっています。
また政治評論家の杉村太蔵(すぎむら・たいぞう)さんは、飯塚被告の無罪主張の批判だけでなく、メディアも”推定無罪の原則”に則った報道をすべきだと警鐘を鳴らしていました。
推定無罪の原則とは何か?なぜ飯塚幸三被告の無罪主張に多くの人が違和感を感じているのか?を調べました。
本記事の内容
池袋暴走事故の裁判で飯塚幸三被告は無罪主張
10月8日、東京・池袋で横断歩道を渡っていた松永真菜さん(当時31)と長女の莉子さん(同3)の命を奪った自動車暴走事故に関する初公判が東京地裁でありました。
悲惨な事故を引き起こしたキャリア官僚である、旧通産省工業技術院の元院長、飯塚幸三被告(89)が何を語るのかは多くの国民が注目をし、雨のなか傍聴券20枚を求めて400人超が抽選に並びました。
裁判の冒頭で飯塚被告は
「今回の事故により、奥様とお嬢様を亡くされた松永様ご遺族に、心からおわび申し上げます。最愛のお2人を亡くされた悲しみ、ご心痛を思いますと言葉がございません」
と頭を下げ謝罪するも、起訴状の内容については
「アクセルペダルを踏み続けたことはありません。車に何らかの異常が生じたために暴走したと思っています」
と否認をしました。
飯塚被告の弁護人も
「被告人に過失はない。システムに何らかの突発的な異常が生じ加速し、事故に至った可能性がある。過失運転致死傷罪は成立しない」
とあくまで車の故障によって起こされた事故であるとし無罪を主張しました。
これに対して検察側は
「制御システムに異常を示す記録はない。アクセルペダルを踏み込む記録を示すデータ、ブレーキペダルを踏んでいないことを示すデータがある」
と主張しており、今後は
- 飯塚被告は本当にブレーキペダルを踏んだのか?
- 車が実は故障していて、ブレーキペダルを踏んだ時に加速した可能性はないのか?
が争点となることが予想されます。
ダウンタウン・松本人志「国民の怒りが完全に1つになった」
10月11日に放送された『ワイドナショー』(フジテレビ系)でダウンタウンの松本人志(まつもと・ひとし)さんは飯塚被告の裁判について、
「ぼんやり痛ましい事件だな、くらいに思っていた人たちも、今回の本人の無罪主張で、国民の怒りが完全に1つになっちゃった感じがしますね」
とのご自身の印象を述べ、
「これ(無罪主張)は裁判でアドリブ的に本人が言ったんですか? 弁護団で相談した上で無罪主張することになったんですか?」
と犬塚弁護士に疑問を投げかけました。
犬塚弁護士が「きちんと相談していると思う」と回答すると、
「えええ…」「弁護団側も、『いやいや流石にそれはちょっと…』ってならないんですか?」
と驚きを隠せない様子を見せました。
犬塚弁護士は番組内で今回の裁判について下記のことをポイントとして述べられていました。
- 飯塚被告はブレーキを踏んだと思っていても、問題の争点は本人が踏んだのがアクセルか?ブレーキか?ということ
- 自動車会社からはブレーキを踏んだ跡はないという証拠が出ており、ブレーキ痕も見当たっていない
- これからは弁護側が突然ブレーキを踏んだら加速することを立証しなくてはいけないが、それはかなり難しいだろう
- 飯塚被告が無罪を主張するなら、弁護側はそれを立証するしかない
もちろん被告人が明らかに嘘をいっていることが明らかな場合に、それに同調した弁護士の行為も違法になります。『弁護士職務基本規程 75条』に、虚偽と知りながら 証拠を提出してはならないと明白に規定されており、弁護士も損害賠償責任を負います。
しかし飯塚被告の場合はどうでしょうか?
飯塚被告の主張はあくまで”彼が思っていること”であり、わざと嘘をついているかどうかは本人以外分かりえません。
そして弁護士は依頼人の利益を守る立場にあり、依頼人の主張に反する主張をすべきではなく、その意味で弁護士は依頼人に同調せざるを得ないです。弁護士の良心に反する場合は、担当の代理人あるいは弁護人を辞任するしか方法がないのが現状です。
番組に出演されていた松本人志さんをはじめ、石原良純さん、フリーアナウンサー・神田愛花さん・東野幸治さんも、多くの人々が疑問に思っている「なぜ飯塚被告とその弁護人は、無罪を主張するのか」「冒頭で謝罪を述べながら、それでいてなぜ無罪を主張するのか」といった疑問をぶつけてくれていました。
杉村太蔵「推定無罪という大原則は押さえておかないといけない」
飯塚被告の裁判については10月11日の『サンデー・ジャポン』(TBS系)でも取り上げられ、多くの芸能人がコメントをしていました。
その中でも政治評論家の杉村太蔵さんは、
「遺族のことを考えると本当にいたたまれないし言葉がない」としたうえで、
「一方で少し冷静に考えないといけないのは、私たち民主主義の社会に生きていますが、裁判において被告が自分の正当性を主張するのは、基本的人権の中で最も尊重されるべき、一丁目一番地」
と指摘をされました。
杉村太蔵さんは続いて
「推定無罪という大原則は、メディアにおいては押さえておかないといけないポイントだと思います」
とコメントをされました。
杉村太蔵さんがおっしゃる”推定無罪の大原則”とはどういう意味なのでしょうか?杉村太蔵さんが飯塚被告を擁護するコメントをしたということでしょうか?
杉村太蔵さんの真意が気になります。
憲法でも保証されている”推定無罪”とは?
「無罪の推定」とは、犯罪を行ったと疑われて捜査の対象となった人(被疑者)や刑事裁判を受ける人(被告人)について、「刑事裁判で有罪が確定するまでは『罪を犯していない人』として扱わなければならない」とする原則です。
引用元 日本弁護士連合会
つまり杉村太蔵さんは、メディアや一般市民が勝手に被告人を『有罪』と決めつけることの危うさを指摘されたのです。
では、なぜ推定無罪という原則が裁判では必要なのでしょうか?それには次の3つの理由があります。
疑わしきは被告人の利益に
すべての被告人は無罪と推定されることから、刑事裁判では、検察官が被告人の犯罪を証明しなければ、有罪とすることができません。
被告人のほうで、自らの無実を証明できなくてもいいのです。
ひとつひとつの事実についても、証拠によってあったともなかったとも確信できないときは、被告人に有利な方向で決定しなければなりません。これを「疑わしきは被告人の利益に」といいます。
無罪の証明の方が難しい、えん罪の防止
疑いを向けられた人が自身の無実を証明することはとても困難です。検察や警察と一般市民の被告人では、自分に有利な証拠を集めるための力に大きな差があります。
にもかかわらず、被告人がみずからの無実を証明できない場合は有罪としてしまったら、多くの無実の市民が有罪とされてしまうおそれがあります。
そうして生まれてしまうものが”えん罪”です。えん罪の悲劇を生みださないために、被告人は無罪と推定され、検察官が犯罪を証明しない限りは有罪とできないものとされているのです。
刑事裁判で判断するもの
裁判というと、「人を裁く」という印象ですが、刑事裁判では実は、検察官が「合理的な疑問を残さない程度」の証拠を提出したかどうかを判断しています。
証拠に基づいて常識にてらして考えたとき、検察官の言い分に何の疑問もなく確信できるかが裁判の判断基準になります。
ネット上のコメント、飯塚被告無罪主張の違和感
こうしたワイドショーTV番組を見た人々はネット上で、
だったら被告の証言が明らかに嘘であったと証明出来た場合には法廷侮辱罪を適用するなり、罰則を加重するなりを行うべきです。
嘘を言ったもの勝ちの体制は間違っています。
これが事実。
厳罰を望む。
自己防衛のための嘘なのか、思い込みなのか、車自体のアクシデントと被告が証言するならば、データをもって反証していけばいい。
など、手のひら返しをしたような飯塚被告の態度に憤りを感じているコメントがほとんどを占めている一方で、杉村太蔵さんがコメントしたように『被告が嘘をついているか』をメディアが決めつけることは危険だと警鐘を鳴らしている人もいました。
飯塚被告がもしもわざと否認戦術をしていたとしても、検察側のデータを覆す証拠を出すことは非常に難しいことは明らかで、結果的には被告人には損にしかならないはずです。
それはプロである弁護側も重々承知のはずで、それでいて否認をするのですから、飯塚被告という人物の性格そうだっただけかもしれません。
今までエリート街道をまっしぐら、自分がやってきたことが正しいという思い込みがあったのではないでしょうか?そういった横柄な一面が垣間見えるからこそ、多くの人が飯塚被告に疑問を抱き批判の声を上げているのではないかと思えてなりません。
Kojiの一言
池袋暴走事故は2人の尊い命を犠牲にしてしまった悲惨な結末だけではなく、事故を起こした飯塚被告が上級国民であることや飯塚被告の言動が一般市民からはとてもかけ離れていたことで、多くの国民の注目や反感につながったと思います。
亡くなった方々のご冥福をお祈りし、ご遺族の方への心からのご同情、哀悼の意をいだきます。
そして裁判自体は裁判のルールに則って、公平に、かつ、正しく実施されて欲しいと思います。まずは判決の行方に注目していきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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