今回は全くモータースポーツとは関係ありませんが、宝塚歌劇団を家族が好きなため、気になるニュースでしたので調べてみました。
宝塚歌劇団のメンバーを育てる宝塚音楽学校には100年を超える歴史があり、入学する生徒はあこがれの宝塚歌劇の舞台に立つことを目標に2年間、音楽や舞踊、演劇といった芸能の基本はもちろん、舞台人としての心得もしっかりと学ぶことが求められます。
そして舞台人を目指す宝塚音楽学校の生徒としての姿勢や規律には、伝統的に上級生の本科生が下級生の予科生へと教え伝えられているんです。
しかし近年、社会の目は部活動などでの行きすぎた指導やハラスメント(嫌がらせ)に対して非常に厳しくなっており、この度、宝塚音楽学校も一部の不文律を廃止することを決めることとなりました。
今回はそのハラスメントの内容と学校側の対策について説明をします。
宝塚音楽学校とは?
宝塚音楽学校の前身、宝塚唱歌隊が発足したのは大正2年7月。
その後、昭和14年に宝塚音楽学校と宝塚歌劇団とに分離されて現在に至ります。
人気の高い宝塚歌劇団のメンバーは一貫して宝塚音楽学校の卒業生であり、言い換えると、宝塚歌劇団を志望する若い少女が目指す場所が宝塚音楽学校です。
そのため宝塚音楽学校は今でも競争率が高く、毎年、定員募集人数40名程度に対して競走倍率20倍以上の狭き門でもあります。
宝塚音楽学校の教えとは?
宝塚音楽学校では宝塚歌劇団にふさわしいメンバーになるために、基礎訓練の厳しいレッスンに耐えて頑張り抜くことは当然のこと、学校の校訓である「清く 正しく 美しく」の教えに基づいて、礼儀作法やマナーの学習も非常に重視されています。
そして宝塚音楽学校には「校則」はなく、「生徒心得」で規則やルールが作られます。
生徒心得とは「宝塚音楽学校の生徒として、恥ずかしくない行動をとる」といった正直不明確なもので、具体的なルールの中身はすべて生徒自身が取り決めた不文律になります。
暗黙のルール。
これだけ聞けば、特に問題はないように思えます。
本科生と予科生の間の行き過ぎた伝統
では実際にはどのようなルール(不文律)があったのか?
具体的には下記の通りです。
服装
- グレーの制服に、赤いリボンタイ。
- 入学生(予科生)は、男役はリーゼント、娘役は毛先まで堅く編み込まれた三つ編みのおさげ髪。
- 白の三つ折りソックスを着用すること。
- 靴は、予科生は黒のローファーで、本科生は黒のパンプスである。
- 腕時計は黒皮ベルトのもの。
予科生の心得
- 登下校の際は、嬌声や笑い声をたてないよう、姿勢を正してまっすぐ前を見つめて、早足で登下校する。
2列縦隊(最大6人)で行進しながら、道行く上級生一人一人に挨拶をする。- 私服は、黒・白・グレーで、赤い物を着てはいけない。ブランド品を持ってはいけない。プライベートでの化粧は厳禁。
- 阪急電鉄の宝塚線と今津線にそれぞれ乗車する際は、最後尾の車両に乗らなければならない。(両親と同伴のときも守る必要がある)
- 車内で着座することも厳禁とされており、下車駅では走り去る阪急電車を最敬礼で送る。(電車に本科生が乗っている可能性があるため)
- 校内では、来客が通りやすいように、廊下の端を一列に歩く。
- 校内では、しゃべらない・笑わない・走らない。
- 電子レンジ、目覚まし時計といった音のなるものの所有は禁止。
- 公私すべてにおいて、本科生が予科生を指導し、その面倒をみる。
- 本科生になると、上述の規則はゆるやかになる。
引用元 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
もちろん校内では廊下の端を一列に歩く、校内はしゃべらない・走らないといった当たり前のことも書かれているが、一方、下車駅では阪急電車を最敬礼で送るといった現代の常識からは少しずれたような規則もあるのが気になります。
生徒は皆、厳しい受験戦争に勝ち高い目標に向かい切磋琢磨しているからこそ、同年代と比べて意識が高く、そのためルールもどんどんと厳しくりやすいかもしれません。
何よりも公私すべてにおいて本科生が予科生を面倒をみるため、予科生にはその規則に対して反対の異を唱える権利は全くないでしょう。
本科生も1年前までは自分たちがやってきたことであり、言い換えれば、それが当たり前の世界になっていたのではないでしょうか。
2008年に本科生が予科生を厳しく指導することが禁じられて規制が緩和された過去もありますが、実情はまだまだ社会の常識と逸脱したこともあったのではないかと推察します。
学校側の今後のハラスメント対策について
今回、学校側は先輩が利用する阪急電車への一礼や、先輩の前での決まった表情、先輩への過度な提出物をするといった一部の規則を廃止しました。
生徒の自主性を尊重しつつ時代にあわせて改善を進めるためというのが表向きの目的ですが、この背景には数年前に体を壊した予科生がいた事実があり、学校側の調べで予科生の一部に過度な提出物が課せられていたことも判明しています。
5年ほど前から、予科生が掃除方法や学校生活に関する質問などをノートに記して本科生に提出する慣習ができ、書く量が多いほど評価される面もあって睡眠時間を削ってノートを書いていた予科生もいたらようです。
学校側は1対1の指導も2019年春に廃止をしています。
確かに生徒の自主性に任せることも大事ですが、そうはいってもまだ未成年ですので、行き過ぎた事態にならないよう、先生方が事前に手を差し伸べてあげられなかったのかなと残念に思います。
まとめ
子供の間のいじめや嫌がらせも社会的な問題として取り上げられますが、大人になってもパワハラやセクハラ、モラハラといった様々なハラスメントは残念ながらなくなりません。
お互いに相手の立場に立って思いやりのある行動がとれたらと思いますが、人間心理なかなかそうはいかないことがあるのも事実です。
しかし、演劇を観にくる人に夢や希望を与えるタカラジェンヌの卵だからこそ、辛く厳しい練習を本科生、予科生の皆で手を取り合って乗り越えていくような美しい物語であって欲しいものです。
コメント