ストローハル数
一言で表すと、、
ストローハル数とは、物体周りの流れで発生する振動や周期的な現象を特徴づけるための無次元数です。
流れの振動周波数と物体のサイズ、流速の関係を示します。
概要
ストローハル数(Strouhal number, St)は、流体力学において、物体の周りを流れる流体がどのように振動し、その振動がどのように物体や周囲の流れに影響を与えるかを表す指標です。
フランスの物理学者ヴィンセント・ストローハルにちなんで名付けられたこの数値は、特に流体が周期的に物体に干渉する場合に重要です。
航空機の翼、橋梁、煙突などの設計において、ストローハル数は振動現象の理解と制御に役立ちます。
イメージ
ストローハル数をイメージするためには、風の中に立てた旗や音叉の振動を思い浮かべてください。
風が旗に当たると、旗は風速に応じて波打ちます。この波打つ速度や振動の頻度がストローハル数に関係します。
物体が流体の中でどのように振動し、その振動がどの程度の周期性を持つかを定量的に示すのがストローハル数です。
定義
ストローハル数は以下の式で定義されます:
$$
St = \frac{f \cdot L}{U}
$$
ここで、
- \( f \) : 振動の周波数(Hz)
- \( L \) : 物体の代表長さ(例えば、物体の直径)
- \( U \) : 流体の速度(m/s)
ストローハル数は、物体周囲の流れがどの程度の周期性を持つかを表し、特定の範囲内でこの値がほぼ一定になることが知られています。これは、カルマン渦のような周期的現象が発生する条件を満たすときに特に重要です。
CAEにおける重要性
ストローハル数は、計算流体力学(CFD)や振動解析において極めて重要です。
CAE(Computer-Aided Engineering)において、この数値は流体が物体と相互作用する際の振動挙動を予測し、構造物の設計や解析において不可欠な役割を果たします。
例えば、風力発電機のブレードや橋梁など、周期的な振動が発生する可能性のある構造物に対して、ストローハル数を用いることで振動や共振のリスクを評価し、設計に反映させることができます。
物理的意味合い
ストローハル数の物理的意味合いは、流体力学における振動と周期現象を理解する上で重要です。
この無次元数は、流れの特性と物体の特性のバランスを表しており、特定の範囲内で流体がどのように振動し、その結果としてどのような現象が発生するかを予測します。カルマン渦などの流体力学現象が現れる際、この数値が重要な指標となり、その理解は安定した構造設計に直結します。
まとめ
ストローハル数は、流体力学において振動と周期現象を特徴づける重要な無次元数です。この数値を理解し、適切に活用することで、構造物の設計や解析において、振動や共振といった現象を予測し、対策を講じることが可能になります。CAEを用いた解析では、ストローハル数が設計の安全性と効率性を高める鍵となります。
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