バックステップ流れの手順:形状作成から条件設定まで【解析事例】

OpenFoam

CFD(計算流体力学)解析を行う際、正確な形状の作成と適切な条件設定が不可欠です。

この記事では、FreeCADを使って解析に必要な形状を作成し、XSimで条件設定を行う手順を詳しく紹介します。

バックステップ流れを例に取り、解析初心者でも理解しやすいように各ステップを解説します。

XSimを使ったOpenFOAM解析の手順の概要はこちら
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FreeCADによる形状作成

CFD解析を進めるには、まず解析に必要な形状を正確に作成する必要があります。

ここでは、FreeCADを用いてバックステップ流れを模したモデルを作成します。

FreeCADの起動とワークベンチの選択

まず、FreeCADを起動し、ワークベンチで「Part」を選択します。

Partワークベンチは、基本的な3D形状を作成・編集するためのツールが揃っており、CFD解析用の形状作成に最適です。

ブーリアン演算による形状作成

次に、直方体を作成し、その一部を削り取ることでステップを形成します。

この操作は、ブーリアン差分と呼ばれる手法を用いて行います。具体的には、以下の手順で進めます。

  1. 直方体を作成し、寸法と位置を設定します。
  2. ステップ部分の直方体を別途作成します。
  3. 2つの直方体を選択し、ブーリアン差分を実行してステップを形成します。

これにより、バックステップ流れを模した形状が完成します。

サーフェス要素への分解とSTLファイルの出力

次に、作成したソリッドモデルをサーフェス要素に分解します。

CFD解析では、境界条件ごとに面を定義する必要があるため、この工程は非常に重要です。

  1. モデルをコピーし、Draftモードに切り替えます。
  2. サーフェス要素に分解します。
  3. 境界条件ごとにサーフェス要素の名前を変更し、STLファイルとして保存します。

これで、FreeCADでの形状作成が完了しました。

XSimによる条件設定

次に、XSimを使用して解析の条件設定を行います。

XSimは、OpenFOAMの前処理や条件設定を簡単に行えるツールで、ブラウザ上で動作します。

STLファイルのインポートとスケール設定

まず、FreeCADで作成したSTLファイルをXSimにインポートします。

この際、FreeCADではmm単位で作成されていますが、OpenFOAMはm単位を使用するため、スケールの変更が必要です。

  1. STLファイルをドラッグ&ドロップでインポートします。
  2. スケールをmmからmに変更し、拡大縮小の中心を原点に設定します。

体積メッシュの設定と再分割

CFD解析では、流れを解析する領域にメッシュを生成する必要があります。

XSimでは、モデルを囲む直方体領域を基準にメッシュを設定します。

  1. 体積メッシュの計算領域を設定します。
  2. ステップ部分に再分割領域を設け、細分化レベルを設定します。

レイヤーメッシュとその他の設定

乱流モデルに標準k-εモデルを使用する場合、レイヤーメッシュの設定が重要です。

今回は、初期設定のままで進め、後で必要に応じて見直す方法をとります。

  1. レイヤーメッシュの第1層の厚みを設定します。
  2. 必要に応じて設定を調整します。

物性設定、初期状態、流れ境界条件の設定

次に、物性や初期状態、流れの境界条件を設定します。

  1. 物性設定で「Air」を選択します。
  2. 初期状態を静止状態に設定します。
  3. 流入口にはX軸方向に10m/sの速度を指定し、流出口には自然流入出を設定します。

計算設定と出力設定

最後に、計算設定と出力設定を行います。

並列数はパソコンのコア数まで設定できますが、余裕を持たせるために並列数を3に設定します。

  1. 並列数を設定します。
  2. 出力間隔を100サイクルに設定します。

設定が完了したら、OpenFOAMで使用するための解析ファイルをエクスポートします。

まとめ

今回の記事では、FreeCADを使用して形状を作成し、XSimで条件設定を行う手順を紹介しました。これにより、CFD解析の準備が整いました。

次回の記事では、エクスポートしたファイルを使用してOpenFOAMでの計算を行い、結果の可視化を行います。

CFD解析を進める上での重要なステップを理解できたと思いますので、次回もぜひお楽しみに。

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