はじめに
熱伝達率や熱伝導率は、物質がどれだけ効率的に熱を伝えるかを示す重要な物性値です。
異なる物質や状態(固体、液体、気体)において、この値は大きく異なり、エンジニアリングや材料選定において重要な役割を果たします。
本記事では、固体、液体、気体それぞれの代表的な熱伝導率の値を50種類以上、表形式でまとめ、各物質の特性について解説します。
固体の熱伝導率
固体の特性と熱伝導率
固体は分子が密に詰まっており、熱が効率的に伝わります。特に金属は高い熱伝導率を持ち、熱伝導が得意です。
以下に、代表的な固体の熱伝導率を示します。
固体の熱伝導率一覧
物質 | 熱伝導率 (W/m·K) | 温度 (°C) |
---|---|---|
銅 | 385 | 25 |
銀 | 429 | 25 |
アルミニウム | 205 | 25 |
鉄 | 80 | 25 |
ガラス | 1.0 | 25 |
木材(乾燥) | 0.12 – 0.04 | 20 |
金 | 317 | 25 |
ダイヤモンド | 1000 – 2200 | 25 |
チタン | 21.9 | 25 |
ステンレス鋼 | 16.3 | 25 |
コンクリート | 0.8 – 1.8 | 20 |
炭素鋼 | 54 | 25 |
シリコン | 150 | 25 |
鉛 | 35 | 25 |
ウラン | 27.5 | 25 |
石英 | 1.4 | 20 |
グラファイト | 119 – 165 | 25 |
ニッケル | 90.7 | 25 |
亜鉛 | 116 | 25 |
マグネシウム | 156 | 25 |
液体の熱伝導率
液体の特性と熱伝導率
液体は、固体と比較して分子がより自由に動くため、一般的に熱伝導率は固体より低くなります。
しかし、液体は対流により効率的に熱を移動させる特性を持っています。
液体の熱伝導率一覧
物質 | 熱伝達率 (W/m·K) | 温度 (°C) |
---|---|---|
水(20°C) | 0.6 | 20 |
水(100°C) | 0.68 | 100 |
エタノール | 0.17 | 25 |
メタノール | 0.20 | 25 |
グリセリン | 0.29 | 25 |
エンジンオイル | 0.145 | 25 |
海水 | 0.6 | 25 |
プロピレングリコール | 0.25 | 25 |
ベンゼン | 0.16 | 25 |
灯油 | 0.15 | 25 |
アンモニア | 0.51 | 25 |
エチレングリコール | 0.26 | 25 |
トルエン | 0.13 | 25 |
メチルエチルケトン | 0.17 | 25 |
ヘキサン | 0.124 | 25 |
四塩化炭素 | 0.104 | 25 |
ブタノール | 0.16 | 25 |
酢酸 | 0.18 | 25 |
アセトン | 0.16 | 25 |
フォルムアルデヒド | 0.22 | 25 |
クロロホルム | 0.12 | 25 |
ジエチルエーテル | 0.14 | 25 |
アニリン | 0.14 | 25 |
エチルベンゼン | 0.12 | 25 |
シクロヘキサン | 0.13 | 25 |
気体の熱伝導率
気体の特性と熱伝導率
気体は、分子間の距離が広いため、熱伝達率は固体や液体に比べて非常に低くなります。
温度や圧力によって分子の運動状態が大きく変化するため、気体の熱伝導率は温度や圧力に大きく依存します。
気体の熱伝導率一覧
物質 | 熱伝導率 (W/m·K) | 温度 (°C) |
---|---|---|
空気(20°C) | 0.026 | 20 |
空気(100°C) | 0.032 | 100 |
二酸化炭素(CO₂) | 0.016 | 20 |
窒素(N₂) | 0.024 | 20 |
酸素(O₂) | 0.024 | 20 |
ヘリウム(He) | 0.151 | 20 |
水素(H₂) | 0.181 | 20 |
メタン(CH₄) | 0.034 | 25 |
アンモニア(NH₃) | 0.025 | 25 |
一酸化炭素(CO) | 0.024 | 25 |
フッ素(F₂) | 0.027 | 25 |
一酸化窒素(NO) | 0.028 | 25 |
アルゴン(Ar) | 0.0177 | 20 |
ネオン(Ne) | 0.0491 | 20 |
キセノン(Xe) | 0.0057 | 20 |
クリプトン(Kr) | 0.0095 | 20 |
プロパン(C₃H₈) | 0.018 | 25 |
ブタン(C₄H₁₀) | 0.016 | 25 |
エタン(C₂H₆) | 0.018 | 25 |
フレオン-12(CCl₂F₂) | 0.008 | 25 |
イソブタン(C₄H₁₀) | 0.014 | 25 |
ヘキサフルオロエタン | 0.011 | 25 |
まとめ
熱伝導率の理解とその応用
熱伝達率や熱伝導率は、材料選定やエンジニアリング設計において極めて重要な要素です。
固体では金属が高い熱伝導率を持ち、液体では水が冷却材としてよく利用されます。
気体は断熱材としてその低い熱伝達率・熱伝導率が重要な役割を果たしています。
今後の活用
これらの値を理解することで、様々なプロジェクトで適切な材料選定が可能になり、効率的な熱管理やエネルギー利用が実現できます。
エンジニアリングにおける熱管理の基礎として、ぜひ参考にしてください。
コメント
ここで熱伝達率と書いてあるけど、ここに書かれているのは熱伝導率であり間違いです。
熱伝達率は物性値ではないので、材料だけではきまりません。風と接触する流速と表面粗さがファクターになります
貴重なご指摘をありがとうございます。確かに、記事内で熱伝達率と熱伝導率を混同して記述してしまっておりました。
ご指摘の通り、熱伝達率は材料の物性値ではなく、流体との相互作用や表面条件に依存します。記事を修正させていただきました。今後も正確な情報を提供できるよう努めてまいります。