シフト演算とは:論理シフトと算術シフトの違いを徹底解説

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シフト演算とは

シフト演算は、ビット操作の一つであり、数値のビット(0と1)を左右に移動させる操作を指します。

この演算は、計算の効率を向上させたり、特定の処理を簡略化したりするために使用されます。

主に左シフト(ビットを左に移動)と右シフト(ビットを右に移動)の2種類がありますが、それぞれに論理的な意味や用途が異なります。

シフト演算は10進数や2進数など、さまざまな数値表現で用いられます。
まずは、それぞれの場合のシフト演算について見ていきましょう。

10進数の場合

10進数でシフト演算を考えると、左シフトは掛け算、右シフトは割り算に対応します

例えば、次のようなイメージです。

  • 左シフト(2桁シフト): 123 → 12300(掛け算のように見える)
  • 右シフト(2桁シフト): 123 → 1(割り算のように見える)

つまり、10進数のシフトは桁数の移動に伴って数値の大小が変わるため、結果的に掛け算や割り算の効果を持ちます。

しかし、実際のシフト演算はコンピュータ内部でビット単位で行われるため、次に2進数でのシフトについて見ていきます。

2進数の場合

2進数でのシフト演算は、10進数よりも直感的に理解しやすいです。

ビットが左に動けば値が2倍になり、右に動けば値が半分になります。

例えば、8ビットの数値 00110101(2進数、53(10進数))に対してシフト演算を行うと:

  • 左シフト(1ビットシフト): 01101010 → 106(10進数で2倍)
  • 右シフト(1ビットシフト): 00011010 → 26(10進数で半分)

シフト演算は効率的に掛け算や割り算を実現する方法として、プログラミングやデータ処理でよく利用されます。


論理シフトと算術シフト

シフト演算には大きく分けて論理シフト算術シフトの2種類があります。

どちらもビットの移動を行いますが、移動する際のルールや目的に違いがあります。

論理シフトとは

論理シフトは、ビット列全体を単純に移動させる操作です。

符号(正負)に関係なく、ビットを左右に動かします。

ここでは、左シフト右シフトの具体的な挙動を見ていきます。

論理シフト × 左シフト

左シフトでは、ビットが左に移動し、右端に0が埋められます。

これにより、2進数の場合、数値の2倍の効果が得られます

例えば、8ビットの数 00101100(44(10進数))を1ビット左シフトすると次のようになります。

  • 左シフト結果: 01011000 → 88(10進数)
オーバーフロー:8ビットで表現できない場合

8ビットの範囲を超えると、最も左のビットが切り捨てられます。

このような現象をオーバーフローと呼びます。

例えば、最大の8ビット数値 11111111(255(10進数))を左シフトすると、次のようにビットが溢れます。

  • 左シフト結果: 11111110 → 溢れたビットは無視され、オーバーフローが発生

論理シフト × 右シフト

右シフトでは、ビットが右に移動し、左端に0が埋められます。

このシフトは、2進数の場合、数値を半分にする効果があります

例えば、8ビットの数 00101100(44(10進数))を1ビット右シフトすると次のようになります。

  • 右シフト結果: 00010110 → 22(10進数)
割り算の余り

右シフトはビットを右に動かして数値を半分にする操作ですが、その際に割り算のように余りが出た場合、それを無視して切り捨てられます

例えば、44 ÷ 2 = 22 は割り切れるので問題ありません。

しかし、例えば、 5 ÷ 2 = 2.5 の場合、右シフトでは小数部分の0.5が無視され、結果は 2 になります。
これが「余りは切り捨てられる」という意味です。

ビットシフトでも同様に、ビット操作において小数部分(余り)は扱えないため、結果が整数に丸められることになります。


算術シフトとは

算術シフトは、符号付きの数値(負の数)に対応するシフト演算です。

負の数は2の補数表現を使って表されているため、論理シフトでは正しく処理できません。

算術シフトでは、符号ビットを保持したままシフトを行う点が特徴です。

算術シフト × 左シフト

符号付き数値に対して左シフトを行う場合、基本的には論理シフトと同じように動作します。

しかし、オーバーフローが発生しやすい点に注意が必要です。

例えば、8ビットで-20を表す2の補数 11101100 を左シフトすると、符号ビットが失われてしまい、正の数として扱われる可能性があります。

算術シフトのオーバーフロー

符号ビットが保持されない場合、左シフトはオーバーフローを引き起こす可能性があります。

特に負の数を左シフトする際には、注意が必要です。

算術シフト × 右シフト

右シフトでは、左端に符号ビット(0または1)を埋めます。

これにより、負の数を正しくシフトすることができます。

例えば、8ビットで-20を表す数値 11101100 を1ビット右シフトすると、次のようになります。

  • 右シフト結果: 11110110 → -10(10進数)

符号ビットが保持されるため、負の数でも正確に半分の値を得ることができます。


まとめ

シフト演算は、ビット操作を効率的に活用して数値の掛け算や割り算を実現する重要な手法です。

論理シフトでは符号に関係なくビットを移動し、特に整数の演算に利用されます。
算術シフトは符号付きの数値に対応し、負の数も正しく扱います。

  • 左シフトは掛け算と同様、数値を2倍にする効果を持ちますが、オーバーフローに注意が必要です。
  • 右シフトは割り算と同様、数値を半分にしますが、余りは切り捨てられます。
  • 算術シフトでは符号ビットの保持が重要で、負の数に対する正確な処理を行います。

まとめると、以下のように表現ができます。

左シフト(掛け算)右シフト(割り算)
論理シフト・空いたスペースに0を入れる
・1がはみ出るとオーバーフロー
・空いたスペースに0を入れる
・はみ出た分は割り算の余り
算術シフト・空いたスペースに0を入れる
・符号ビットと異なる数字がはみ出るとオーバーフロー
・空いたスペースに符号ビットを入れる
・はみ出た分は割り算の余り
シフト演算まとめ

これらの基本を理解することで、シフト演算を適切に活用できるようになります。

プログラミングやアルゴリズムの効率化において、シフト演算は非常に強力なツールです。

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