マルウェアとは:種類・感染経路・対策方法を徹底解説

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マルウェアとは

マルウェア(Malware)とは、「Malicious Software(悪意のあるソフトウェア)」の略称で、コンピュータやネットワークに損害を与えることを目的としたソフトウェアの総称です。

マルウェアは、ユーザーのデータを盗んだり、システムを破壊したり、悪意のある操作を自動的に行ったりします。

マルウェアと他の悪意あるソフトウェアの違い

多くの人は「ウイルス」や「スパイウェア」といった言葉を耳にしたことがあるかと思いますが、これらはすべてマルウェアの一種です。

マルウェアは悪意あるプログラム全般を指す広い概念で、ウイルスやスパイウェアはマルウェアに含まれる特定の種類となります。

マルウェアの存在理由とリスク

マルウェアは個人情報の盗難、金銭的な損失、コンピュータの破壊、システムの乗っ取りなど様々な被害を引き起こします。

特にインターネットが普及した現代において、マルウェアは一般のユーザーから企業に至るまで、大きな脅威となっています。


マルウェアの種類

マルウェアには様々な種類があり、それぞれ異なる方法でコンピュータやネットワークに攻撃を仕掛けます。

以下に、代表的なマルウェアの種類を説明します。

マルウェアの種類説明特徴
コンピューターウィルス感染したファイルを通じて自己複製し、他のファイルに感染するファイル破壊、システム不安定化
マクロウィルスMicrosoft Officeのマクロ機能を悪用して文書ファイルに感染メール添付ファイル経由で広がる
ワーム自己複製を行い、ネットワークを介して感染を広げるネットワーク帯域を消費しシステムをダウンさせる
トロイの木馬無害に見せかけたソフトウェアとして侵入し、裏口を作る遠隔操作やデータ盗難が目的
スパイウェアユーザーの活動を監視し、情報を攻撃者に送信するプライバシー侵害、データ収集
ランサムウェアデータを暗号化し、身代金を要求するデータ損失や金銭的被害
キーロガーキーボード入力を記録し、機密情報を盗むパスワードやクレジットカード情報を狙う
ルートキット他のマルウェアの存在を隠すために利用されるウィルス対策ソフトから見えないようにする
ボット感染したPCを遠隔操作可能にし、ボットネットを形成するDDoS攻撃やスパムメールに利用される
マルウェアの種類

コンピューターウィルス

コンピューターウィルスは、感染したファイルやプログラムを通じて他のファイルに自己複製し、拡散していくマルウェアです。

ウィルスは、ファイルを破壊したり、システムを不安定にしたりすることがあり、感染が広がることで被害が増大します。

感染したファイルを開いたり実行したりすることで発動するため、信頼できないファイルのダウンロードには特に注意が必要です。

マクロウィルス

マクロウィルスは、Microsoft Office(WordやExcelなど)のマクロ機能を悪用したウィルスの一種です。

文書ファイルを開くことでウィルスが実行され、同じ形式のファイルに感染を広げます。

メールの添付ファイルとして送信されることが多く、企業内ネットワークに簡単に広がるため、特に注意が必要です。

ワーム

ワームは、自己複製を行いながらネットワークを介して広がるマルウェアです。

ウィルスと異なり、感染するために特定のファイルに付着する必要がなく、自身でシステムに侵入して拡散します

ワームはネットワークの帯域を大量に消費し、システム全体をダウンさせることがあります。

トロイの木馬

トロイの木馬(トロジャン)は、ユーザーに無害なファイルやソフトウェアに見せかけてシステムに侵入するマルウェアです。

感染後は、バックドア(裏口)を作り、攻撃者が遠隔操作でシステムにアクセスできるようにします。

トロイの木馬は一般的にユーザーに気づかれないように動作し、データの盗難やスパイ活動を行います。

スパイウェア

スパイウェアは、ユーザーの活動を監視し、データを収集して攻撃者に送信するマルウェアです。

スパイウェアはしばしば広告ソフトウェアとセットでインストールされ、気づかないうちに個人情報やブラウジング履歴を盗むことがあります。

プライバシー侵害やフィッシング詐欺の一因となるため注意が必要です。

ランサムウェア

ランサムウェアは、感染したデバイス上のデータを暗号化し、データを解放するために金銭を要求するマルウェアです。

一般的に「身代金」を意味する「ランサム(Ransom)」からその名がついています。

企業や医療機関などを狙ったランサムウェア攻撃は、システム停止による大きな損害を引き起こすことがあります。

キーロガー

キーロガーは、ユーザーがキーボードで入力する情報を記録するマルウェアです。

これにより、IDやパスワード、クレジットカード番号などの機密情報を盗むことが可能になります。

オンラインバンキングやSNSなどのアカウント乗っ取りを目的とした攻撃に利用されることが多いです。

ルートキット

ルートキットは、マルウェアの存在を隠すために使用されるプログラムやツールの集合です。

感染したシステムに常駐し、ウィルス対策ソフトやOSから見えないようにすることで、他のマルウェアが気づかれずに活動を続けることを可能にします。

ルートキットを除去するのは非常に困難であり、感染するとOSの再インストールが必要になる場合もあります。

ボット

ボットは、感染したコンピュータを外部から遠隔操作できるようにするマルウェアです。

ボットに感染したコンピュータは「ゾンビ」とも呼ばれ、C&Cサーバー(Command and Controlサーバー)と呼ばれる指令サーバーからの命令に従います。

ボットが複数のコンピュータに感染して形成されるネットワークを「ボットネット」と呼び、DDoS攻撃(大量のアクセスを送りつけてサーバーをダウンさせる攻撃)やスパムメールの送信などに利用されます。


マルウェアの感染経路

マルウェアはさまざまな経路を通じてコンピュータやネットワークに感染します。

以下に、代表的な感染経路を紹介します。

メールの添付ファイルやリンク

メールの添付ファイルやリンクは、マルウェアを拡散する代表的な方法です。

攻撃者は信頼できる人物や企業を装ってメールを送り、ユーザーに添付ファイルを開かせたり、リンクをクリックさせたりします。これにより、マルウェアがダウンロードされてしまうのです。

ソーシャルエンジニアリング

ソーシャルエンジニアリングとは、人間の心理を利用して情報を引き出したり、マルウェアをインストールさせたりする手法です。

例えば、攻撃者がカスタマーサポートを装い、パスワードや個人情報を聞き出すことがあります。

ドライブバイダウンロード

ドライブバイダウンロードとは、ユーザーが悪意のあるウェブサイトにアクセスしただけで自動的にマルウェアがダウンロードされる手法です。

ユーザーが意図せず感染するため、非常に危険です。

USBメモリや外部デバイス

USBメモリや外部デバイスを介して感染が広がることもあります。

特に公共の場所や複数のユーザーが使用する環境で、ウィルス感染したUSBメモリを使用すると、感染が他のデバイスにも広がる危険があります。

アプリケーションのインストール

信頼できないアプリケーションやフリーソフトをインストールすると、マルウェアが含まれていることがあります。

特に、公式ストア以外からアプリをダウンロードする場合は注意が必要です。


マルウェアの影響

マルウェアに感染すると、以下のような影響が発生します。

データの損失

多くのマルウェアは、データを破壊したり、暗号化してアクセスできなくするため、感染したシステムのデータが失われる可能性があります。

特にランサムウェアによるデータの暗号化は、身代金を支払わない限りデータを取り戻せないことが多いです。

金銭的損害

ランサムウェアやスパイウェアによって、金銭的な損害が発生することがあります。

ランサムウェアの場合、復旧のために身代金を支払うことになり、スパイウェアによって銀行口座情報やクレジットカード情報が漏洩する二次リスクもあります。

プライバシーの侵害

スパイウェアやキーロガーに感染すると、個人情報や行動履歴が収集され、攻撃者に送信されます。

これにより、プライバシーが侵害され、個人情報が悪用されるリスクが高まります。

システム障害やネットワークダウン

ワームやボットネットによる攻撃でネットワークが過負荷状態になり、システムやサーバーがダウンすることがあります。

企業の重要なインフラに影響を与えることも多く、業務に大きな支障が出る可能性があります。


マルウェア対策

マルウェアに対抗するためには、以下の対策が効果的です。

マルウェア対策ソフトの導入

まず、マルウェア対策ソフト(アンチウイルスソフト)を導入し、リアルタイムでの監視機能を有効にすることが基本です。

これにより、マルウェアがシステムに侵入しようとした際に即座に検知してブロックできます。

ウィルス対策ソフトの詳細な説明はこちら

定期的なアップデートとパッチの適用

OSやアプリケーションのアップデートを定期的に行い、最新のセキュリティパッチを適用することも重要です。

古いソフトウェアはセキュリティの穴が見つかりやすいため、定期的な更新を怠らないようにしましょう。

不審なメールやリンクに注意

メールやメッセージ内の不審なリンクや添付ファイルは開かないようにしましょう。

特に、送信者に心当たりがない場合は注意が必要です。また、知り合いからのメールであっても、本文が不自然だった場合には、クリックを避けるようにしてください。

信頼できないウェブサイトやアプリの利用を避ける

信頼できないウェブサイトや非公式のアプリストアからのダウンロードは控え、信頼できる公式のダウンロード元からのみ入手するようにしましょう。


マルウェアに感染したときの対処法

マルウェアに感染してしまった場合は、以下の対処法を行いましょう。

マルウェア対策ソフトでスキャンと駆除

まずは、マルウェア対策ソフトを使ってシステム全体をスキャンし、感染したファイルを隔離・削除しましょう。

多くの対策ソフトは、ウイルス感染の自動駆除機能を持っています。

ネットワークからの切断

感染が疑われた際には、まずネットワークから切断することで、他のデバイスへの感染拡大や、データの外部流出を防ぎます。

システム復元

WindowsやMacOSには、システムを以前の状態に戻す「システム復元」機能があります。

この機能を使って、感染する前の状態に戻すことができれば、マルウェアが消去される場合があります。

専門家に相談

高度なマルウェアやルートキットに感染している場合、自分での駆除が難しいことがあります。

特に企業システムで感染が疑われる場合は、専門のセキュリティ業者に依頼することをおすすめします。

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