CAE解析の種類

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はじめに

コンピュータ支援エンジニアリング(CAE)は、設計と製造のプロセスを効率化し、製品の品質を向上させるための強力なツールです。
CAE解析にはさまざまな種類があり、それぞれが異なる目的と手法を持っています。

本記事では、CAE解析の主要な種類とその概要について解説します。

1. 構造解析(Structural Analysis)

構造解析は、構造物が外部からの力(荷重)に対してどのように反応するかを評価するための解析です。
以下の種類があります。

  • 静的解析(Static Analysis): 定常状態での構造物の応力と変形を評価します。橋や建物の設計で使用されます。
  • 動的解析(Dynamic Analysis): 時間依存の荷重や振動に対する構造物の応答を評価します。地震応答解析などが含まれます。
  • 非線形解析(Nonlinear Analysis): 材料の非線形性や大変形を考慮した解析です。高強度材料の解析やプラスチック変形の評価に使用されます。

2. 熱解析(Thermal Analysis)

熱解析は、構造物や材料が温度変化に対してどのように反応するかを評価します。
以下の種類があります。

  • 定常熱解析(Steady-State Thermal Analysis): 温度分布が時間とともに変化しない場合の解析です。エレクトロニクスの冷却システム設計などに使用されます。
  • 過渡熱解析(Transient Thermal Analysis): 時間とともに変化する温度分布を評価します。エンジンの熱管理や溶接プロセスの解析に適用されます。

3. 流体解析(Fluid Analysis)

流体解析は、流体の挙動とその影響を評価するための解析です。
以下の種類があります。

  • 定常流解析(Steady-State Flow Analysis): 流れが時間とともに変化しない場合の解析です。パイプ内の流れや換気システムの設計に使用されます。
  • 過渡流解析(Transient Flow Analysis): 時間とともに変化する流体の流れを評価します。航空機の空力特性解析や流体混合の解析に適用されます。

4. 電磁解析(Electromagnetic Analysis)

電磁解析は、電磁場の分布とその影響を評価します。
以下の種類があります。

  • 静電解析(Electrostatic Analysis): 静的な電場分布を評価します。コンデンサーの設計や絶縁材料の評価に使用されます。
  • 静磁解析(Magnetostatic Analysis): 静的な磁場分布を評価します。電磁石や永久磁石の設計に適用されます。
  • 高周波解析(High-Frequency Analysis): 高周波電磁波の伝播を評価します。アンテナ設計やマイクロ波回路の解析に使用されます。

5. マルチフィジックス解析(Multiphysics Analysis)

マルチフィジックス解析は、複数の物理現象が連成して発生する場合の解析です。
例えば、熱と構造、流体と熱などの連成解析があります。

以下の種類があります。

  • 熱-構造連成解析(Thermal-Structural Coupling Analysis): 温度変化による構造物の変形や応力を評価します。エンジンの熱応力解析などに使用されます。
  • 流体-構造連成解析(Fluid-Structure Interaction Analysis): 流体の力が構造物に及ぼす影響を評価します。橋の風揺れや航空機の翼の解析に適用されます。

まとめ

CAE解析には多くの種類があり、それぞれが異なる目的と手法を持っています。
これらの解析を組み合わせることで、より詳細で正確な設計が可能になります。

今後のブログ記事では、各解析の具体的な事例や詳細な手法についても解説していきますので、引き続きご覧ください。

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