シャーウッド数とは

CAE用語
スポンサーリンク

シャーウッド数

一言で表すと、、

シャーウッド数とは、流体の質量伝達を評価するための無次元数であり、拡散と対流の相対的な影響を示します。

概要

シャーウッド数(Sherwood number)は、流体力学や伝熱工学において重要な指標であり、特に質量伝達に関連する問題を扱う際に利用されます。名前の由来は、英国の工学者トーマス・シャーウッドにちなんで名付けられました。

シャーウッド数は、拡散と対流の相対的な効果を評価するために使用され、流体の動きによってどれだけ物質が移動するかを示します。

イメージ

シャーウッド数を直感的に理解するために、洗濯物を乾かす際をイメージしてみましょう。例えば、風が吹いている日に、洗濯物が速く乾くことがあります。これは、風が当たることで衣類表面の水分が空気中に速く移動するためです。この現象をシャーウッド数で捉えると、風が強い(対流が強い)ほど、シャーウッド数が高くなり、乾燥が速く進むということになります。

逆に、風がなく静止しているときには、シャーウッド数は低くなり、乾燥が遅くなるでしょう。

数値が高いほど、対流による物質の移動が強く、拡散による移動が相対的に弱いことを意味します。

定義

シャーウッド数は次のように定義されます:

$$
Sh = \frac{K_c \cdot L}{D}
$$

ここで、

  • \( Sh \) : シャーウッド数
  • \( K_c \) : 質量伝達係数
  • \( L \) : 代表長さ(通常は対象物の特定の寸法)
  • \( D \) : 拡散係数

この式は、拡散と対流による物質移動の相対的な重要性を定量化するために用いられます。

シャーウッド数は、類似の無次元数であるヌセルト数(伝熱におけるシャーウッド数の対応物)やペクレ数(拡散と対流のバランスを表す)と密接に関連しています。

CAEにおける重要性

CAE(コンピュータ支援エンジニアリング)において、シャーウッド数は特に流体解析や伝熱解析で重要な役割を果たします。シャーウッド数を適切に設定することで、質量伝達現象を正確にモデル化し、シミュレーションの精度を向上させることができます。特に、化学反応を伴う流れや、蒸発・凝縮の過程など、物質移動が重要な問題において、シャーウッド数は解析結果に大きな影響を与える要素となります。

物理的意味合い

シャーウッド数は、物理的には流体の中での物質移動の効率を表しています。高いシャーウッド数は、対流が支配的であることを示し、これにより物質が迅速に移動することが期待されます。逆に、低いシャーウッド数は拡散が支配的であり、物質移動が比較的遅いことを示します。

この数値は、流体の速度や粘性、密度、温度などの影響を受けます。

まとめ

シャーウッド数は、流体の質量伝達における対流と拡散のバランスを示す重要な無次元数です。流体解析や伝熱解析において、この数値を理解し適切に使用することは、精度の高いシミュレーションを行うために不可欠です。特にCAEの分野では、シャーウッド数が解析結果に与える影響を理解することで、より良い設計や最適化が可能となります。

コメント