DES(Detached Eddy Simulation)とは

CAE用語
スポンサーリンク

DES(Detached Eddy Simulation)

一言で表すと、、

DES(Detached Eddy Simulation)は、RANSとLESを組み合わせた乱流解析手法で、大規模な渦と壁面近くの流れを効率的に解析します。

概要

DES(Detached Eddy Simulation)は、乱流の解析においてRANS(レイノルズ平均ナビエ・ストークス)とLES(ラージエディシミュレーション)の手法を組み合わせたハイブリッドなアプローチです。壁面近くではRANSを使用し、大規模な渦が発生する領域ではLESを適用することで、高い解析精度と計算効率を両立させています。DESは、複雑な流れ場をより現実的にシミュレートするために設計されており、航空宇宙や自動車産業などで広く利用されています。

イメージ

DESをイメージするには、例えば車のボディに沿って流れる空気の流れを考えてみてください。車体表面に近いところでは流れが層流から乱流に変わりますが、これは非常に複雑で、解析が困難です。DESでは、車体表面近くではRANSを使用して流れを解析し、車体から離れた場所の大きな渦についてはLESを使用して解析します。これにより、流れ全体を効率的かつ精密にシミュレーションすることが可能となります。

定義

DES(Detached Eddy Simulation)は、RANSとLESのハイブリッドモデルとして定義されます。この手法では、RANSが適用される領域とLESが適用される領域が自動的に分離され、以下のような統一された方程式により解析が行われます:

$$
\frac{\partial \bar{u}_i}{\partial t} + \bar{u}_j \frac{\partial \bar{u}_i}{\partial x_j} = -\frac{1}{\rho} \frac{\partial \bar{p}}{\partial x_i} + \nu \frac{\partial^2 \bar{u}_i}{\partial x_j^2} + \frac{\partial \tau_{ij}^{RANS}}{\partial x_j} \text{(RANS領域)}
$$

$$
\frac{\partial \bar{u}_i}{\partial t} + \bar{u}_j \frac{\partial \bar{u}_i}{\partial x_j} = -\frac{1}{\rho} \frac{\partial \bar{p}}{\partial x_i} + \nu \frac{\partial^2 \bar{u}_i}{\partial x_j^2} + \frac{\partial \tau_{ij}^{LES}}{\partial x_j} \text{(LES領域)}
$$

ここで、\( \tau_{ij}^{RANS} \)​ はRANSモデルによる応力、\( \tau_{ij}^{LES} \) はLESモデルによる応力です。このように、流れ場の特性に応じて最適なモデルが適用されます。

CAEにおける重要性

CAE(Computer-Aided Engineering)において、DESは特に複雑な流れ場の解析において重要な役割を果たします。従来のRANSモデルでは十分に解析できない大規模な渦の影響を考慮しながら、計算コストを抑えることが可能です。これにより、航空機や自動車の設計において、より現実的で効率的なシミュレーションが可能となり、製品の性能向上や安全性の確保に貢献します。

物理的意味合い

DESは、流体力学における乱流の物理的な理解を深めるためのツールです。乱流は非常に複雑で多様な現象ですが、DESを使用することで、その主要な特性を解析し、特定の条件下での流れの挙動を正確に予測することができます。これにより、実際の設計やシミュレーションにおいて、流体の動きをより深く理解し、最適な設計が可能となります。

まとめ

DES(Detached Eddy Simulation)は、乱流解析において高い精度と効率を両立させるための革新的な手法です。その理論を理解し、CAEにおいて適切に応用することで、より正確な流体シミュレーションが可能になります。DESの基本的な概念と応用を把握することで、複雑な流れの挙動を予測し、効果的な設計や最適化を実現することができます。

コメント