Q値(Q-criterion)
一言で表すと、、
Q値(Q-criterion)とは、流体力学において渦流れ構造を可視化するための指標です。
特に、渦度と歪みの関係を評価し、流れの中で渦が発生している領域を効果的に特定するために用いられます。
概要
Q値は、流体解析や計算流体力学(CFD)において、流れ場の渦構造を明確に可視化するために使用されるスカラー量です。
具体的には、Q値が正の領域を渦領域とみなすことができ、これにより複雑な流れの中から渦構造を抽出することが可能です。
Q-criterionは、流体の運動の本質を理解するための重要なツールとして、多くの研究や実務で採用されています。
イメージ
Q値を使った可視化は、例えば航空機の翼周りの空気の流れを考えるとわかりやすいです。
翼周りに発生する渦を明確に示すことで、揚力や抗力の解析に役立ちます。Q値を用いることで、流体の挙動がより視覚的に理解しやすくなります。
定義
Q値は次のように定義されます:
$$
Q = \frac{1}{2} \left( |\Omega|^2 – |S|^2 \right)
$$
ここで、
- \( |\Omega| \) : 渦度テンソルのノルム
- \( |S| \) : 歪みテンソルのノルム
Q値が正の領域は、流体の運動が主に回転的であることを示し、渦が存在する領域を示唆します。
これに対して、Q値が負の領域は、流体が主に歪みを受けている領域を意味します。
CAEにおける重要性
CAEやCFDにおいてQ値は、流れ場の解析において非常に重要な役割を果たします。
特に、車両や航空機の設計において、渦による空気抵抗や流体力を正確に評価するために使用されます。Q値を利用することで、エンジニアは複雑な流れの中から渦構造を抽出し、設計の最適化に活用することが可能です。
物理的意味合い
Q値は、物理的には渦度と歪みのバランスを示しています。
具体的には、Q値が正の場合、渦度が歪みよりも支配的であることを意味し、流れの中に渦が存在することを示します。これにより、流れ場の回転特性を理解しやすくなり、設計や解析における重要な判断材料となります。
まとめ
Q値(Q-criterion)は、流体力学における渦流れ構造の可視化に不可欠な指標です。正のQ値領域を識別することで、流れ場の中の渦を効率的に抽出でき、CAEやCFDにおける流体解析の精度を向上させることができます。Q値の理解と適用は、流体力学における高度な解析を支える重要な要素です。
コメント