バックステップ流れの手順:計算実行から結果の可視化まで【解析事例】

OpenFoam

前回の記事では、バックステップ流れの形状をFreeCADで作成し、XSimでの条件設定までを行いました。

今回は、その続きとして、OpenFOAMでの計算実行から結果の可視化までの手順を詳しく解説します。
これにより、CFD(計算流体力学)解析の基本的なフローを一通り理解できるようになります。

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OpenFOAMでの計算実行

解析ファイルの準備

前編でXSimからエクスポートした解析用ファイルはzip形式で圧縮されています。まず、これを任意のディレクトリに移動し、解凍します。

解凍したフォルダ内には、OpenFOAMでのメッシュ分割と計算を実行するためのシェルスクリプト「Allrun」が含まれています。

メッシュ分割と計算の実行

解凍したフォルダ内で「Allrun」を使用して、メッシュ分割と計算を行います。

まず、ターミナルを開き、以下のコマンドを入力して「Allrun」に実行権限を与えます(LinuxやMac環境の場合、Windows環境は不要)。

Bash
chmod +x Allrun

その後、以下のコマンドを実行してOpenFOAMを起動し、メッシュ分割と計算を開始します。

Bash
./Allrun

計算が始まると、ターミナルに残差のグラフが表示される場合があります。
残差は、計算の収束具合を示す重要な指標で、下図のようにグラフで確認できます。

(工事中)

今回の設定では1000サイクルまで計算を行い、計算が完了するとターミナルが待機状態に戻ります。

計算完了後の確認

計算が完了したら、残差グラフを閉じて構いません。これで、OpenFOAMでの計算は終了です。

次に、結果を可視化するためにParaViewを使用します。

ParaViewでの結果の可視化

ParaViewの起動と結果の読み込み

OpenFOAMの計算が完了したら、ターミナルで以下のコマンドを入力してParaViewを起動します。

Bash
paraFoam

ParaViewが起動したら、解析結果を読み込んだ状態で表示されます。

最初に「Apply」ボタンをクリックして、解析結果を適用します。
次に、サイクルを最終サイクルに設定して結果を確認します。

メッシュ表示と断面表示

ParaViewでは、メッシュの状態を確認することができます。

まず、「Solid Color」と「Wireframe」を選択してメッシュを表示します。
このメッシュ表示によって、ステップ部分が細かく分割されていることが確認できます。

次に、断面表示を行います。
ParaViewの操作パネルから「YNormal」を選択し、Y軸に鉛直な断面を追加します。

これにより、内部の流れの様子を断面で観察することができます。

流速分布と静圧分布の可視化

断面表示を行ったら、次に流速分布と静圧分布をコンター表示で可視化します。

流速分布を表示するには、「U」を選択し、同様に静圧分布を表示するには「p」を選択します。

これにより、流れのスピードや圧力の変化が視覚的に確認できます。

流速ベクトルの表示

さらに、流速ベクトルを表示して流れの方向と強さを可視化します。

ベクトル表示を追加し、適切なスケールを設定することで、ステップ部分での逆流や渦の発生が確認できます。

このベクトル表示は、流れの詳細な挙動を理解するのに役立ちます。

流線の表示と解析

最後に、流線を表示して流れの経路を視覚化します。

流線発生位置を設定し、モデルの流入口中心に配置します。
流線は、流れの進行方向を示し、特にステップ後方での流れの剥離や渦の発生を詳しく観察することができます。

まとめと次回予告

今回の後編では、OpenFOAMを用いた計算の実行から、ParaViewを使った結果の可視化までの一連の流れを紹介しました。このプロセスを通じて、CFD解析の基本的な手順を学ぶことができたと思います。なお、今回の解析は基本的な設定で行いましたが、実際の解析ではさらなる調整や検証が必要となります。

次回の記事では、円柱周りの流れを解析し、その結果をさらに詳しく見ていきます。次回もお楽しみに!

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