情報技術者試験(基本情報技術者試験やITパスポート試験など)では、プログラムの基本構造やアルゴリズムが重要なテーマとして出題されます。
本記事では、試験対策にも役立つ具体的な解説を交えながら、プログラムの基本を詳しく解説します。
プログラムの基本とは
プログラムとは、コンピュータに具体的な作業を指示するための「命令の集合」です。
これを理解するには、次の2つのポイントを押さえる必要があります。
- アルゴリズム:解決したい問題の手順を整理する方法
- プログラミング:その手順をコンピュータに伝える技術
プログラムの基礎を学ぶことは、試験対策だけでなく、日常生活や業務の効率化にも役立ちます。
アルゴリズムとプログラミングの基本
アルゴリズムとは
アルゴリズムとは、「問題を解決するための手順やルールを論理的に整理したもの」です。
例えば、日常の行動にもアルゴリズムが潜んでいます。
例:朝の支度の手順
- 起床する
- 洗顔や歯磨きをする
- 朝食をとる
- 外出の準備を整える
このように、物事を一連のステップに分けることで、誰でも効率的に行動できます。
プログラムとは
アルゴリズムをコンピュータが理解できる形式で記述したものがプログラムです。
プログラムは、特定のプログラミング言語で記述され、コンピュータがそれを解釈し、指示を実行します。
プログラムの特徴
- 明確性:あいまいさを排除する必要がある
- 完全性:手順が漏れなく含まれる
- 再現性:同じ入力で同じ結果を得られる
フローチャート(流れ図)
プログラムの流れを視覚化した「フローチャート(流れ図)」は、アルゴリズムを整理する際に役立つツールです。
試験では、フローチャートを用いた問題も頻出します。
フローチャートの基本記号
記号 | 役割 | 形状 |
---|---|---|
端子 | プログラムの開始・終了を示す | 楕円形 |
処理 | 計算や操作を指示 | 長方形 |
条件 | 条件分岐を示す | ひし形 |
矢印 | 流れの方向を示す | → |
アルゴリズムの例:ATMでお金を引き出す手順
アルゴリズムを試験問題に対応できる形で具体化します。
以下は、ATMでお金を引き出す手順のアルゴリズムです。
- カードを挿入する
- 暗証番号を入力する
- 引き出したい金額を選択する
- 残高を確認
- 残高が足りる場合:現金を受け取る
- 残高が不足している場合:「残高不足」と表示して終了
- カードを抜き取る
この例をフローチャートにすると、処理の流れがさらに明確になります。
フローチャート図(テキスト表現)
+-------+
| 開始 |
+-------+
↓
+------------------+
| カードを挿入する |
+------------------+
↓
+-------------------+
| 暗証番号を入力する |
+-------------------+
↓
+-----------------------+
| 引き出したい金額を選択 |
+-----------------------+
↓
+------------------+
| 残高を確認する |
+------------------+
↓ ↓
(足りる) (不足している)
↓ ↓
+-------------+ +------------------------+
| 現金を受け取る | | 「残高不足」と表示する |
+-------------+ +------------------------+
↓ ↓
+------------------+ |
| カードを抜き取る | |
+------------------+ |
↓ |
+-------+ |
| 終了 | <-------------+
+-------+
アルゴリズムの基本構造
アルゴリズムは「順次・選択・繰返」3つの基本構造から成り立ちます。これらを理解することは試験で必須です。
順次構造:指示された順番に処理する
例:手紙を出す手順
- 手紙を書く
- 封筒に入れる
- 切手を貼る
- ポストに投函する
ポイント:一連の流れが順序通りに進むのが順次構造です。
選択構造:条件によって処理を分ける
例:天気によって外出するか判断する
- 晴れている → 公園に行く
- 雨が降っている → 家で映画を見る
ポイント:条件の「分岐」を設計するのが選択構造です。
繰返構造:同じ処理を繰り返す
例:毎朝の体操をする
- 「腕立て伏せを10回行う」を3セット繰り返す
ポイント:「終了条件」や「繰り返し回数」を指定します。
プログラムの属性
情報技術者試験では、プログラムの属性も重要な知識として問われます。
リロケータブル(再配置可能)
プログラムが異なる環境で動作する柔軟性を指します。
例)USBメモリ内のプログラムが、異なるPCで動作する仕組み。
リユーザブル(再使用可能)
再利用を考えた設計は、効率的な開発に欠かせません。
例)よく使う計算処理を関数として分けることで、他のプログラムでも再利用可能。
リエントラント(再入可能)
複数のプロセスから同時に呼び出されても正しく動作するプログラム。
例)Webサーバーが複数のユーザーリクエストを同時に処理する際に必要。
リカーシブ(再帰的)
関数や処理が自分自身を呼び出す仕組み。
例)数学の階乗(n!)の計算:n!=n×(n−1)!
まとめ
情報技術者試験では、こうしたアルゴリズムの考え方やプログラムの構造を正しく理解することが求められます。
基礎を固め、実際の問題にも取り組むことで、合格に近づきます!
コメント