サイクロン集塵機は、粉塵を効率的に集塵するための重要な装置です。
今回は、標準型サイクロンの設計について詳しく解説します。
サイクロン集塵機の設計の基本
サイクロン集塵機の設計では、処理する粉塵の密度と粒子径に基づいて、装置の寸法を決定します。
具体的には、集塵機の圧力損失が送風機の能力やエネルギーコストに大きく影響するため、その予測が重要です。
しかし、設計段階では圧力損失の正確な予測は難しいため、シミュレーションが有効です。
設計のための基本データ
設計の基本となるデータは、処理風量と分離できる粉塵の最小径です。
粉塵の最小径は「限界粒子径」と呼ばれ、この値を基に設計を行います。
例えば、限界粒子径が10μmで処理風量が120 m³/minの集塵機を設計するケースを考えてみましょう。
ロジンの式を用いた限界粒子径の計算
限界粒子径 \( d_{min} \) は、ロジンの式で次のように表されます:
$$
d_{min} = \frac{ \mu \cdot ( \rho_P – \rho ) }{ \rho \cdot u \cdot b }
$$
ここで、
- \( \mu \) : 気体の粘度 [Pa·s]
- \( \rho_P \) : 粒子の密度 [kg/m³]
- \( \rho \) : 気体の密度 [kg/m³]
- \( b \) : 入り口の幅 [m]
- \( u \) : 入り口流速 [m/s]
標準型サイクロンの寸法計算
サイクロン集塵機の設計には、標準型サイクロンを用いると便利です。
標準型サイクロンでは、サイクロンの径を \( D \) とし、入り口幅 \( b \) は \( D/5 \)、入り口高さ \( h \) は \( D/2 \) となります。
風量 \( Q \) [m³/min] の場合、入り口流速 \( u \) は次の式で求められます:
$$
u = \frac{Q}{6 \cdot D^2}
$$
この式を元に、サイクロン径 DDD を求めると次のようになります:
$$
D = \sqrt{\frac{Q}{6 \cdot u}}
$$
設計結果
表1の設計諸元を用いて計算すると、サイクロン径 \( D \) は約1.3mとなります。
これにより、サイクロン集塵機の直径は 1.3 m、高さは 3.9 mと決定されます。
まとめ
サイクロン集塵機の設計は、粉塵の特性や処理風量に基づいて詳細に計算されます。さらにシミュレーションを用いることで、圧力損失の予測や設計の最適化が可能となります。
今回の例では、限界粒子径や流量に基づく具体的な寸法計算を行い、実際の設計に役立てることができました。
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