はじめに
分岐・合流管は、配管システムにおいて重要な役割を果たします。
今回は、OpenFOAMを使用して、分岐・合流管内の流れを解析する手順を紹介します。
この解析により、流体が分岐し、再び合流する際の挙動や、圧力損失の原因を明らかにできます。
FreeCADによる解析モデル作成
まずは、FreeCADを使用して解析モデルを作成します。
- FreeCADを起動し、図1に示すように、矩形管モデルを作成します。流れは、左側から流入し、直線部分と円形に迂回する部分に分岐した後、再び合流して右側から流出します。
- 完成したソリッドモデルを、面要素に分離し、流入口、流出口、管内面ごとにstlファイルを出力します(図2参照)。
図1: モデル作成
図2: 面要素に分割
FreeCADの操作方法についての詳細は、こちらの過去の記事を参考にしてください。
XSimでの条件設定
次に、XSimを使用して解析条件を設定します。
- XSimに接続し、プロジェクト名を入力して、stlファイルをインポートします。スケールを mm から m に変更します(図3参照)。
- メッシュ設定では、計算領域が配管内に収まるように座標を設定します。さらに、分岐部と合流部を囲むように再分割領域を設定し、配管内面にはレイヤーメッシュを設定します(図4~図6参照)。
図3: 形状のインポートとスケール変更
図4: メッシュ設定
図5: 再分割領域設定
図6: レイヤーメッシュ設定
次に、基本設定を行います。
- 定常計算を選択し、終了サイクルを1000に設定します。乱流モデルには標準k-εモデルを使用します(図7参照)。
- 物性設定では、Airを選択し、初期条件として静止状態を設定します(図8, 図9参照)。
- 境界条件では、流入側に5m/sの流速を設定し、流出側を自然流入出、管内面を静止壁に設定します(図10参照)。
図7: 基本設定
図8: 物性設定
図9: 初期条件設定
図10: 境界条件設定
最後に、計算設定と出力設定を行い、解析ファイルをエクスポートします(図11~図12参照)。
図11: 計算設定
図12: 出力設定
XSimの操作についてさらに詳しく知りたい場合は、こちらの過去の記事を参考にしてください。
3. OpenFOAMでの計算実行
XSimでエクスポートした解析ファイルをOpenFOAMで実行します。
- エクスポートしたzip形式の解析ファイルを展開し、ターミナルを起動します。
./Allrun
コマンドを実行して、メッシュ分割と計算を行います。
OpenFOAMでの計算手順の詳細については、こちらの過去の記事を参照してください。
ParaViewでの結果の可視化
計算が完了したら、ParaViewを使用して解析結果を可視化します。
paraFoam
コマンドを入力し、ParaViewを起動します。- メッシュ表示を確認し、分岐部と合流部のメッシュが細かく分割されていることを確認します(図13参照)。
- 流速分布や静圧分布を確認し、分岐部での逆流や合流部での流速変化を可視化します(図14~図17参照)。
- 流線表示を行い、分岐後の流れがどのように進むかを確認します(図18参照)。
図13: メッシュ図
図14: 流速分布
図15: 静圧分布
図16: 分岐部の流速ベクトル図
図17: 合流部の流速ベクトル図
図18: 流線表示
ParaViewの操作方法については、こちらの過去の記事を参考にしてください。
まとめ
今回は、OpenFOAMを用いた分岐・合流管内の流れ解析の手順を紹介しました。
分岐・合流管の流体挙動を理解することで、配管システムの設計や性能向上に役立てることができます。各ステップの操作については、過去の記事を参考にしながら進めてください。
次回はさらに高度な流体解析に挑戦します。お楽しみに!
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