様々な物質の線膨張係数

解析Tips

線膨張係数は、温度変化により物質がどれだけ膨張または収縮するかを示す重要な指標です。

物質ごとに異なる線膨張係数を理解することで、設計や材料選定においてより適切な判断ができます。

今回は、金属、非金属、ガラス、複合材料などの物質を分類し、それぞれの線膨張係数を一覧で紹介します。

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金属の線膨張係数

金属は、多くの場合、温度変化による膨張や収縮が顕著に現れます。

機械部品や構造材料として広く使われているため、線膨張係数を考慮した設計が重要です。

物質名線膨張係数(×10⁻⁶/℃)温度範囲(℃)
鉄 (Fe)11.80-100
鋼 (Steel)12.00-100
ステンレス鋼16.00-100
アルミニウム (Al)23.10-100
銅 (Cu)16.50-100
銅合金 (Bronze)18.00-100
ニッケル (Ni)13.00-100
チタン (Ti)8.60-100
銅ニッケル合金 (CuNi)15.00-100
マグネシウム (Mg)25.00-100
亜鉛 (Zn)30.20-100
鉛 (Pb)28.90-100
金 (Au)14.20-100
銀 (Ag)19.70-100
白金 (Pt)8.90-100
クロム (Cr)6.20-100
銅アルミニウム合金 (CuAl)17.60-100

非金属の線膨張係数

非金属は金属に比べて膨張率が異なる場合が多く、特にセラミックスやポリマー材料では非常に低い線膨張係数を持つものもあります。

これらは電気機器や耐熱材料として重要です。

物質名線膨張係数(×10⁻⁶/℃)温度範囲(℃)
シリコン (Si)2.60-100
石英ガラス (SiO₂)0.550-100
グラファイト (C)5.50-100
ダイヤモンド (C)1.00-100
アクリル (PMMA)70.00-100
ポリカーボネート (PC)65.00-100
ナイロン (PA)80.00-100
ポリエチレン (PE)140.00-100
ポリプロピレン (PP)100.00-100
ゴム (Rubber)160.00-100
ガラス (一般的なガラス)8.50-100
炭化ケイ素 (SiC)4.00-100
酸化アルミニウム (Al₂O₃)8.00-100
酸化ジルコニウム (ZrO₂)10.00-100
シリカエアロゲル0.10-100

複合材料の線膨張係数

複合材料は、異なる材料を組み合わせることで、温度変化に対する特性を調整できるため、特に航空宇宙や自動車産業で重要視されています。

物質名線膨張係数(×10⁻⁶/℃)温度範囲(℃)
炭素繊維強化プラスチック (CFRP)1.0-10.00-100
ガラス繊維強化プラスチック (GFRP)10.0-20.00-100
エポキシ樹脂 (Epoxy)45.00-100
アルミニウム複合材 (Al Composite)22.00-100
炭化タングステン (WC-Co)4.50-100
グラスウール (Glass Wool)5.00-100
ポリウレタンフォーム (PU Foam)80.00-100
カーボンナノチューブ (CNT)0.10-100

液体・ガスの線膨張係数

液体やガスは、固体に比べて膨張率が大きく、温度変化に対して特に敏感です。
液体やガスの線膨張係数は、主に体積膨張を扱うことが多いですが、参考として紹介します。

物質名線膨張係数(×10⁻⁶/℃)温度範囲(℃)
水 (H₂O)約 207.00-100
エタノール (C₂H₅OH)1100.00-100
メタン (CH₄)690.00-100
アンモニア (NH₃)400.00-100
窒素 (N₂)350.00-100
酸素 (O₂)430.00-100
二酸化炭素 (CO₂)370.00-100

ガラスの線膨張係数

ガラスは非常に低い線膨張係数を持つものが多く、耐熱性や耐久性が求められる用途に使われます。

特に光学機器や電子機器の部品として重要です。

物質名線膨張係数(×10⁻⁶/℃)温度範囲(℃)
ホウケイ酸ガラス3.30-100
パイレックスガラス3.30-100
石英ガラス0.550-100
ソーダライムガラス9.00-100
アルミノケイ酸ガラス7.00-100
フッ化カルシウムガラス18.00-100

まとめ

今回紹介した50種類以上の物質の線膨張係数は、設計や材料選定において重要な役割を果たします。

金属、非金属、複合材料、ガラス、液体といった様々な材料は、温度変化によって異なる膨張や収縮を示します。
そのため、使用環境に合わせて適切な材料を選ぶことが求められます。

特に、CAE(計算機援用工学)を活用したシミュレーションでは、線膨張係数を考慮して熱応力や変形を正確に予測し、最適な設計が可能となります。
今回の一覧を参考に、より安全で効率的な材料選定と設計に役立ててください。

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