非定常現象に定常解析を用いるリスクとその影響

解析Tips
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サマリー

基本的には定常解析で多くの流体解析が行えますが、例外も存在します。非定常性が無視できない場合、定常解析では全く異なる結果が生じることがあります。この記事では、非定常現象に定常解析を適用した際のリスクとその影響について、具体的な事例を交えて解説します。

非定常解析でも長い時間計算し続けると定常解析と同じ結果となるか?

非定常現象を定常解析で解くリスク

非定常現象に対して定常解析を適用することは、非定常解析において不正な時間ステップを用いるのと同じようなリスクを伴います。非定常性を持つ現象を定常解析モデルで解くと、現象の本質を捉えられず、結果として全く異なる解を得ることがあります。

STAR-CCM+における解析の基礎

流体を解析する際に使用する一般的な基礎方程式は以下の通りです。

$$
\frac{d}{dt} \int_V \rho \chi \phi \, dV + \oint_A \rho \phi (\mathbf{v} – \mathbf{v_g}) \cdot d\mathbf{a} = \oint_A \Gamma \nabla \phi \cdot d\mathbf{a} + \int_V S_\phi \, dV
$$

この式は、スカラー量 \( \phi \) の輸送を示すものです。この方程式の左辺第一項は非定常項であり、第二項は移流項です。一方、右辺第一項は拡散項、第二項はソース項となります。

非定常解析の場合、これらの全ての項を解きますが、定常解析では非定常項が省略されます。

これにより、時間変化がない状況を想定して解析を行うことになります。

定常解析と非定常解析の違い

非定常解析では、例えば円柱回りの流れ解析において、カルマン渦列と呼ばれる渦の放出が確認できます。しかし、同じモデルを定常解析で扱うと、時間変化を考慮しないため、結果として異なる解が得られることがあります。

以下に、円柱回りの流れ解析における定常解析と非定常解析の結果を比較します。

非定常解析の例

非定常解析では、円柱から一定時間ごとに放出されるカルマン渦列が確認できます。

定常解析の例

一方、定常解析では時間変化が考慮されないため、カルマン渦列が表れず、全く異なる結果となっています。

まとめ

解析の目的や対象となる現象に応じて、定常解析と非定常解析を適切に使い分けることが重要です。特に、非定常性を持つ現象に対して定常解析を用いると、誤った結果を導く可能性があるため注意が必要です。

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