コールブルック・ホワイトの式とは

CAE用語
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コールブルック・ホワイトの式

一言で表すと、、

「コールブルック・ホワイトの式」とは、乱流領域における流体の摩擦損失を計算するための経験式です。

特に、円管内を流れる流体の抵抗を正確に求めるために使われます。

概要

コールブルック・ホワイトの式は、1937年にC.F. ColebrookとC.M. Whiteによって発表され、乱流下での管内摩擦係数を求めるための重要な式です。

従来のダルシー・ワイスバッハの式やマンニング式と違い、管内の相対粗さとレイノルズ数の関係を含むため、より正確な結果を提供します。

ダルシー・ワイスバッハの式の詳細な説明はこちら

この式は、流体力学や土木工学、機械工学など、さまざまな分野で用いられています。
特に流体の流れが乱流に達する場合や、管内の粗さが重要な影響を与えるケースでは、不可欠なツールです。

イメージ

コールブルック・ホワイトの式をイメージするには、次のシナリオを考えてみましょう。

あなたが水を使って配管を通して流体を移動させたいとします。

その配管の内部には、小さな凹凸が存在しており、水がその表面に対してどのような摩擦を受けるのかを予測する必要があります。しかし、乱流が発生している場合、摩擦損失の計算は単純ではありません。

そこで、この式が使われ、管の粗さや流れの性質を考慮し、正確な摩擦損失が計算されます。

定義

コールブルック・ホワイトの式は次の形で表されます。

$$
\frac{1}{\sqrt{f}} = -2.0 \log \left( \frac{\varepsilon/D}{3.7} + \frac{2.51}{Re \cdot \sqrt{f}} \right)
$$

ここで、

  • \( f \) : 摩擦係数
  • \( \varepsilon \) : 配管内壁の粗さ(絶対粗度) [m]
  • \( D \) : 水力直径 [m]
  • \( Re \) : レイノルズ数(流れの慣性力と粘性力の比)

満水状態の円管流れでは、水力直径 \( D \) 配管の内径と一致します。

コールブルック・ホワイトの式は、暗黙的な形で摩擦係数を求めるため、数値的に解く必要があります。
このため、CAEツールや数値計算によって実際の解を得ることが一般的です。

CAEにおける重要性

CAE(Computer-Aided Engineering)において、コールブルック・ホワイトの式は配管内の流体挙動を正確にシミュレートするために欠かせないツールです。

特に、乱流条件下での配管設計や圧力損失解析では、この式を用いることでより現実的なシミュレーションが可能となります。

例えば、HVACシステムや石油パイプラインの設計では、流体の移動による摩擦損失を正確に予測することが重要です。これにより、エネルギー効率の向上や適切なポンプの選定が可能となります。

CAEツールでは、この式をベースに摩擦係数が計算され、さらに他の解析と組み合わせることで、流れの挙動を総合的にシミュレートすることができます。

物理的意味合い

コールブルック・ホワイトの式は、物理的には流体の「抵抗」や「摩擦」を定量的に表しています。

乱流において、流れは不規則で、エネルギーが局所的な渦の生成に使われます。
このとき、管の内壁の粗さが重要な役割を果たし、流体の速度や圧力損失に影響を与えます。

具体的には、以下の点で物理的な意味を理解できます。

  1. レイノルズ数が高い(流れが速い)ほど、乱流が強くなり摩擦損失も大きくなる。
  2. 管内の粗さが大きいほど、壁との摩擦が増し、エネルギー損失が増大する。
  3. この式は、流体の粘性や慣性がどのように摩擦に関与するかをモデル化し、これらの影響を計算に反映させます。

まとめ

コールブルック・ホワイトの式は、流体力学における摩擦損失を正確に計算するための重要な道具です。特に、乱流下での流れに対して精度の高い予測を提供し、エンジニアリングやCAEの分野で広く用いられています。

この式を理解することで、流体の挙動を正確に把握し、効率的なシステム設計が可能になります。次に配管や流体システムに取り組む際には、ぜひこの式を活用してみてください。

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