アワーグラスモードとは

CAE用語

アワーグラスモード(Hourglass Mode)は、計算力学や流体シミュレーションにおいて、特に有限要素法(FEM)で重要な概念です。このモードは、シミュレーションモデルの変形や解析において、特定の問題を引き起こす可能性があります。

本記事では、アワーグラスモードの定義、発生原因、影響、対策について詳しく解説します。

一言で表すと、、

アワーグラスモードとは、有限要素法シミュレーションにおいて、要素の変形が特定の形状(砂時計型)になる現象であり、数値解析の精度や安定性に影響を与えることがあります。

概要

アワーグラスモードは、主に有限要素解析において、要素の内部で異常な変形が発生する現象です。ひずみエネルギーが発生しない、物理的には発生しない数学的な安定状態です。

この変形は、解析精度や計算結果に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、非線形問題や大変形を扱うシミュレーションで見られることがあります。

アワーグラスモードの定義

アワーグラスモードは、要素が「砂時計型」または「アワーグラス型」の変形をするモードで、数値的な不安定性を引き起こします。この変形は、物理的には意味を持たず、数値的な計算誤差や不適切なメッシュ分割に起因することが多いです。

アワーグラスモードの原因

アワーグラスモードが発生する原因には、以下のような要因があります:

  • メッシュの粗さ:メッシュが粗いと、変形が不正確になり、アワーグラスモードが発生しやすくなります。
  • 不適切な要素形状:要素の形状が不適切(例えば、非常に歪んだ形状)であると、変形の不安定性が増します。低減積分を用いた要素で発生しやすい傾向があります。
  • 数値的な誤差:解析アルゴリズムや数値計算の精度が不足していると、アワーグラスモードが発生する可能性があります。

アワーグラスモードの影響

アワーグラスモードがシミュレーションに及ぼす影響には以下のようなものがあります:

  • 計算精度の低下:数値的な変形が現実の物理挙動と異なるため、計算結果の精度が低下します。
  • 解析の不安定性:シミュレーションが収束しない、または異常な結果が得られることがあります。
  • 解析時間の増加:無駄な計算や修正が必要となり、解析にかかる時間が増加することがあります。

アワーグラスモードの対策

アワーグラスモードを回避または最小化するための対策には以下の方法があります:

  • メッシュの改善:より細かいメッシュを使用することで、変形の精度を向上させます。
  • 要素形状の最適化:適切な要素形状を選定し、歪みを最小限に抑えます。
  • 数値的な安定性の向上:アワーグラスモードを制御する擬似的な抵抗を加える解析アルゴリズムや数値計算の精度を向上させることで、アワーグラスモードの発生を防ぎます。

まとめ

アワーグラスモードは、有限要素法シミュレーションにおいて重要な概念であり、特に大変形を扱う問題で見られることがあります。このモードの発生を理解し、適切な対策を講じることで、シミュレーションの精度と安定性を確保することができます。解析の際には、アワーグラスモードを意識し、より信頼性の高い結果を得るための工夫を行いましょう。

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