逆ポーランド表記法(RPN)とは:中置記法と後置記法の違い

基本情報技術者試験, FE 基本情報技術者試験
基本情報技術者試験

逆ポーランド表記法(Reverse Polish Notation: RPN)は、計算や式を効率的に表現する方法の1つであり、特にプログラミングや計算機においてよく使用されます。

本記事では、逆ポーランド表記法の基本概念やメリット、さらに中置記法との違いについて解説します。

スポンサーリンク

逆ポーランド表記法とは

逆ポーランド表記法(RPN)は、演算子をオペランドの後に置く表記方法です。

通常の数式では、演算子(+, -, *, /など)がオペランド(数値や変数)の間に位置しますが、RPNでは演算子が最後に位置するため、括弧が不要になります。

日本語では演算子を最後に置くことから、後置記法と呼ばれます。

逆ポーランド表記法の歴史

RPNは、ポーランドの数学者ヤン・ウカシェヴィチ(Jan Łukasiewicz)によって提案された「ポーランド記法」に由来します。

彼は本来、演算子を前に置く「前置記法」を提案しましたが、その後、演算子を後に置くRPNが計算機の設計において特に便利であることが発見され、広く普及しました。


中置記法と後置記法の基本

中置記法とは

中置記法は、我々が日常的に使用している標準的な数式の表記法です。

たとえば、次のような式は中置記法です。

3 + 4 * 2

この式では、演算子(+と*)がオペランド(3, 4, 2)の間に置かれています。

中置記法では、演算の優先順位を明示するために括弧を使用することが必要です

(3 + 4) * 2

後置記法(逆ポーランド表記法)とは

後置記法、つまりRPNでは、演算子はオペランドの後に来ます。

上記の式をRPNに変換すると、以下のようになります。

3 4 2 * +

この表記法の最大の特徴は、括弧が不要であることです。

すべての計算は、数式が左から右に処理され、演算の順序が自然に決まります。


逆ポーランド表記法のメリット

括弧が不要

中置記法では、計算の順序を示すために括弧が必要ですが、RPNでは不要です。

たとえば、(3 + 4) * 2 という式は中置記法では括弧を使いますが、RPNでは 3 4 + 2 * として書くことができ、括弧の処理を回避できます。

計算処理がシンプル

RPNはコンピュータや電卓にとって非常に効率的です。

RPNではスタック(後入れ先出しのデータ構造)を用いて数値を保持し、演算を行います。

このため、計算処理がシンプルで高速になります。


逆ポーランド表記法の具体例

それでは、具体的な例で中置記法を後置記法に変換してみましょう。

例: 中置記法から後置記法への変換

(3 + 4) * 2
  1. 中置記法ではまず括弧内の 3 + 4 を計算します。
  2. 次にその結果に * 2 を行います。

これをRPNに変換すると次のようになります。

3 4 + 2 *

この形式では、スタックを使って演算を順に処理することができます。

もう一つの例

5 * (6 - 2) / (1 + 3)

RPNでは次のようになります。

5 6 2 - * 1 3 + /

スタックを用いると、上記の計算は演算子が出現した時点で直ちに計算されます。


RPNを活用する場面

プログラミングにおける利用

RPNは、スタックを利用した計算処理が特徴であり、多くのプログラミング言語やコンパイラの内部で利用されています。

スタックベースの仮想機械や計算機のアルゴリズムで特に役立ちます。

HP電卓での使用例

HP(ヒューレット・パッカード)の一部の電卓では、RPNが標準的に採用されており、特にエンジニアや科学者に愛用されています。

電卓上での計算操作が非常に効率的になるため、複雑な数式処理にも対応可能です。


まとめ

逆ポーランド表記法(RPN)は、計算やプログラムにおいて効率的に式を表現するための重要な手法です。

中置記法と比較して括弧が不要であり、処理の順序が自然に決まるため、特にスタックを使ったアルゴリズムにおいて便利です。

今後の計算やプログラミングでRPNのメリットをぜひ活用してみてください!


この記事は、逆ポーランド表記法の基礎から、実際の使い方までを網羅的に解説しました。
質問やコメントがありましたら、ぜひお寄せください!

コメント