ロッキング現象とは

CAE用語
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ロッキング現象

一言で表すと、、

ロッキング現象とは、有限要素法(FEM)で解析を行う際に、要素の変形が抑制され、シミュレーション結果が不正確になる現象です。

概要

ロッキング現象は、特に薄肉構造やシェル要素の解析で頻発する問題であり、CAE(Computer-Aided Engineering)でのシミュレーションの精度に大きな影響を与えます。

ロッキングが発生すると、要素が十分に変形できず、解析結果に大きな誤差が生じることがあります。

このため、正確な結果を得るためには、ロッキング現象を理解し、適切な対策を講じることが必要です。

イメージ

ロッキング現象を簡単にイメージするためには、過剛な構造物を想像すると分かりやすいでしょう。

例えば、非常に硬い板を曲げようとすると、本来曲がるべきところが曲がらず、無理に曲げようとした結果、全体が大きな力を受けてしまう状況です。

この場合、シミュレーションでも実際の挙動とは異なる結果が得られることになります。

定義

ロッキング現象は、有限要素法において、要素の変形が不自然に制限されるために発生する数値的な不安定性です。これは、特に低次元の要素(1次要素)を用いた解析で発生しやすく、要素が局所的に過度に剛性を持つために起こります。

ロッキングには代表的なものとして「せん断ロッキング(シアーロッキング)」と「体積ロッキング(ボリュームロッキング)」の2種類があります。

  • せん断ロッキング : 特に薄いシェル要素や梁要素で発生しやすく、せん断変形が正確に表現されないために発生します。
  • 体積ロッキング : 体積変化を伴う変形を扱う際に発生し、要素が過剛となり変形しにくくなる現象です。

CAEにおける重要性

CAEにおいてロッキング現象は、特に構造解析で問題となります。正確な解析結果を得るためには、ロッキングを防止するための対策が不可欠です。

対策としては、次のような方法が一般的に用いられます。

  • 高次要素の使用 : 高次元要素を用いることで、ロッキング現象を抑制し、より正確な結果を得ることができます。
  • メッシュの改善 : メッシュの精度を上げ、要素のアスペクト比を改善することでロッキングを回避します。
  • 専用の要素モデル : ロッキングを軽減するために開発された特別な要素モデル(例:次数低減積分要素)を使用します。

物理的意味合い

物理的に、ロッキング現象は実際の構造物の挙動を不正確に再現する原因となります。

例えば、薄いプレートの曲げ解析でロッキングが発生すると、プレートのたわみや応力分布が過剛な結果として示されるため、実際の挙動を正確に予測することができなくなります。

このような問題は、設計の段階で重大なミスを引き起こす可能性があり、ロッキング現象の理解と対策は非常に重要です。

まとめ

ロッキング現象は、有限要素法を用いたシミュレーションにおいて頻発する問題であり、その発生を防ぐための対策は不可欠です。

CAE解析において、正確な結果を得るためには、ロッキング現象を理解し、適切な要素やメッシュの選択を行うことが重要です。この知識を持つことで、シミュレーションの精度を向上させ、より信頼性の高い解析結果を得ることができるでしょう。

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