熱膨張率とは

CAE用語
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熱膨張率

一言で表すと、、

熱膨張率とは、物質が温度の変化に応じてどの程度膨張または収縮するかを示す指標です。

温度が上昇すると、物質の分子運動が活発になり、その結果、物質が膨張します。この膨張の度合いを定量化したものが熱膨張率です。

概要

熱膨張率は、固体、液体、気体のすべての物質において重要な物理特性であり、温度変化に応じた物質の体積変化を予測するために使用されます。

特に、設計や材料選定において、熱膨張率は重要な要因となります。

例えば、温度変化がある環境で使用される部品や構造物は、異なる熱膨張率を持つ材料が接触することで、応力が生じる可能性があります。

イメージ

熱膨張率を理解するためのイメージとして、金属棒を加熱する例を考えてみましょう。

冷たい状態では一定の長さを持つ金属棒が、加熱されるとその長さが伸びます。この長さの変化量を元の長さで割り、さらに温度変化で割った値が、その金属の熱膨張率です。

定義

熱膨張率( \( \alpha \) )は、次のように定義されます:

$$
\alpha = \frac{1}{L} \cdot \frac{\Delta L}{\Delta T}
$$​

ここで、

  • \( L \) : 初期の長さ
  • \( \Delta L \) : 長さの変化量
  • \( \Delta T \) : 温度の変化量

この式から、熱膨張率は物質の温度変化に対する膨張の度合いを示すことが分かります。

単位は一般的に 1/°C または 1/K です。

CAEにおける重要性

CAE(計算機援用工学)において、熱膨張率は材料の熱応力解析において不可欠なパラメータです。特に、高温環境下で使用される材料の挙動を予測する際に、熱膨張率の正確な設定が求められます。

例えば、エンジンやタービンブレードなど、極端な温度変化にさらされる部品の設計には、熱膨張率が大きな影響を及ぼします。

物理的意味合い

物理的には、熱膨張率は物質の内部エネルギーの変化によって引き起こされる分子間距離の変化を反映しています。

温度が上昇すると、分子はより激しく振動し、その結果、分子間の平均距離が増加します。この分子間距離の増加が、物質全体の膨張として観測されるのです。

まとめ

熱膨張率は、物質の温度変化に対する膨張や収縮の度合いを示す重要な物理量です。設計や材料選定において、特に温度変化が関与する状況では、この値を考慮することが不可欠です。CAE解析でも、熱膨張率を適切に設定することで、より正確なシミュレーション結果を得ることができます。

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