バッフル(邪魔板)とは:撹拌効率を高めるための基本知識

化学工学
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バッフル(邪魔板)

バッフル(邪魔板)は、撹拌(かくはん)プロセスにおいて、混合の効率を大幅に向上させる重要な要素です。

撹拌翼(かくはんよく)だけでは、液体が容器の中でぐるぐると旋回するだけで十分に混ざらない場合があります。
そんなとき、バッフルを設置することで、液体の流れを制御し、より効率的な混合が可能になります。

この記事では、バッフルの役割、重要性、そして様々なバッフルの種類について詳しく解説します。


バッフルの役割

バッフル(邪魔板) は、撹拌槽(かくはんそう)に取り付けられ、液体の旋回流を上下の循環流へと変換するための装置です。

撹拌機によって発生する液体の回転を、上下方向の流れへと促す役割を果たします。

供回り現象とバッフルの効果

バッフルが無い状態では、撹拌翼が回転しても液体は撹拌槽内でぐるぐると回るだけです。

この現象を「供回り」と呼び、混合効果は非常に低くなります。

しかし、バッフルを設置することで、液体はバッフルに当たり、旋回流が上下に変換されます。
この「上下循環流」によって、液体は撹拌槽全体にわたり均等に混ざるようになります。


バッフルの重要性

特に低粘度の液体を混ぜる場合、バッフルの設置は欠かせません。

撹拌槽の設計において、撹拌翼の選定だけでなく、バッフルの有無や形状も含めて総合的に検討する必要があります。

バッフルが適切に配置されていると、撹拌効率が向上し、より早く、そして均一に混合が可能になります。


バッフルの種類

バッフルにはいくつかの種類があり、撹拌する液体の特性や目的に応じて使い分けられます。

以下によく使われるバッフルの形状と特徴を紹介します。

板バッフル

板バッフルは、最も一般的なバッフルの形状です。

板状の薄いバッフルで、槽径の1/8~1/12の幅がバランスが良いとされています。

効果的に旋回流を上下方向に変換する能力が高いため、撹拌効率を大幅に向上させます。

ただし、板バッフルにはデメリットもあります。
背面に汚れが付きやすく、また撹拌機に必要な動力が高くなる傾向があります。

棒バッフル

棒バッフルは、パイプ状の棒を使用したバッフルです。

板バッフルと比べて、バッフル効果は低いものの、丸い形状のため流れがスムーズで、液体のよどみが少なく、汚れの付着も抑えられます。

特に、重合系のプロセスで使われることが多く、粘度が高くなる液体でも付着が少ないことが利点です。

フィンガーバッフル

フィンガーバッフルは、棒バッフルに指のような突起が付いた形状です。

棒バッフルよりもバッフル効果が強く、板バッフルほどではないにせよ、十分な撹拌効果を発揮します。

重合物が付きやすい環境に適しており、棒バッフルだけではバッフル効果が不足する場合に使用されます。

デルタバッフル

デルタバッフルは、壁面に三角形(△)のような形で配置されるバッフルです。

他のバッフルは壁面と少し距離を取って設置されますが、デルタバッフルは壁面に密着して配置されます。

このバッフルは、汚れが付着しにくく、付着しても簡単に洗浄できるというメリットがあります。
特に、ジェッターを使った洗浄がしやすいことが評価されています。


バッフル選定のポイント

バッフルを選定する際には、撹拌する液体の特性や撹拌槽の設計に応じて適切な形状を選ぶことが重要です。

例えば、粘性の高い液体や重合系の液体には、付着が少ない棒バッフルやフィンガーバッフルが適しています。
一方、撹拌効果を最大限に高めたい場合は、板バッフルが有効です。

また、撹拌の目的によっては、バッフルの数やサイズ、配置の仕方にも工夫が必要です。

撹拌槽全体で均一な混合を実現するためには、バッフルと撹拌翼のバランスが重要な役割を果たします。


まとめ

バッフルは、撹拌プロセスにおいて混合効果を高めるために欠かせない装置です。
撹拌翼だけでは供回りが起こり、十分に混合できない場合でも、バッフルを設置することで、効率的な上下循環流が生まれ、全体の撹拌効率が向上します。

バッフルの選定は撹拌する液体の特性や目的に応じて慎重に行うべきで、適切な形状やサイズのバッフルを使用することで、より効果的な混合が可能になります。
撹拌槽の設計段階で、撹拌翼だけでなくバッフルの有無や形状もしっかりと検討することが重要です。

撹拌プロセスでのバッフル選定にお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。

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