流体とは
一言で言うと、、
液体と気体の総称です。
流体の特徴
- 流体は一定の形を持たず、自由に流れやすい性質を持っています。(ただし、極端な高圧や低温の環境を除きます)
- 流体は接触面に平行な力(せん断応力)が発生すると、静止状態を保つことができません。
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流体の理解を助けるために、分子間距離(Mean Free Path)が固体と流体でどのように異なるかを示す図を見てみましょう。
- 固体: 分子間距離が短く、分子が密集しています。
- 液体: 分子間距離が比較的長く、分子が自由に動ける空間があります。
- 気体: 分子間距離が非常に長く、分子が広がっています。
流体はこの液体と気体を含むため、せん断応力が加わると流動するという特性を持っています。
連続体という概念
一言で言うと、、
流体を小さな粒子の集まりではなく、大きなかたまりとして捉える考え方です。
概要
- 連続体とは、多数の小さな粒子がつながって、隙間がない状態を指します。
- 原子や分子の運動に注目しない場合、連続体として流体を扱うことが可能です。
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連続体の概念を理解するために、連続体として扱える例と扱えない例を見てみましょう。
- 連続体として扱える例:
- 砂漠の砂
- 真空
- 連続体として扱えない例:
- 空気
- 水分子
分子の運動方程式を全て解くことは非現実的ですが、マクロ的な視点で連続体として流体を扱うことで、その特性を数学的かつ効率的に把握することが可能になります。
連続体の詳細
定義
次の2つの条件を満たす場合、流体を連続体として取り扱います。
- 着目している流れ領域の大きさが分子サイズより十分大きいこと(分子理論のために着目しないシステム)。
- 流体要素に含まれる分子が均等な密度であり、均一な状態であること(分子数が極めて多い)。
CAEにおける重要性
流体を連続体として取り扱うことで、流体力学における数値解析が可能となります。
物理的識別法
連続体状態か否かを判断するためにクヌーセン数 \( K_n \) を用います。以下の式で計算できます。
$$
Kn=λL=kBT2πσ2PLK_n = \frac{λ}{L} = \frac{k_B T}{\sqrt{2} πσ^2 P L}Kn=Lλ=2πσ2PLkBT
$$
- \( L \) : 代表長さ [m]
- \( λ \) : 分子の平均自由工程 [m]
- \( k_B \) : ボルツマン定数 [J/K]
- \( T \) : 絶対温度 [K]
- \( σ \) : 分子径 [m]
- \( P \) : 全圧 [Pa]
例えば、1mmの立方体に含まれる酸素分子の数は約3.3×10^19個/mm³であり、
0℃、1気圧の空気中の分子数は約2.7×10^19個/mm³です。
まとめ
流体の性質を理解するためには、流体そのものの特徴と、連続体という概念を把握することが重要です。
連続体として流体を扱うことで、数値解析や実際のシミュレーションがより正確かつ効率的に行えるようになります。
今回の内容を元に、次回は具体的な流体解析の事例を紹介していきます。お楽しみに!
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