ストークス数とは

CAE用語
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ストークス数

一言で表すと、、

ストークス数とは、粒子が流体の動きにどれだけ追従するかを示す無次元数です。

概要

ストークス数(Stokes Number)は、流体力学において、粒子が流体の流れに対してどの程度追従するかを評価するための指標です。特に、エアロゾルや粉体の運動、燃焼シミュレーションなどで重要な役割を果たします。ストークス数が大きいと、粒子は流体の動きに遅れて反応し、逆に小さいと流体の動きに敏感に追従します。

イメージ

ストークス数は、流体中を移動する粒子の「慣性」と「流体の粘性」とのバランスを表すものと考えるとわかりやすいです。ストークス数が小さい場合、粒子はまるで流体の一部であるかのように動きますが、ストークス数が大きい場合、粒子は自身の慣性に従って独自の軌道を描くことになります。

定義

ストークス数 \( St \) は、次の式で定義されます。

$$
St = \frac{\tau_p}{\tau_f}
$$​

ここで、

  • \( \tau_p \)​ : 粒子の緩和時間(粒子が流体の速度に追いつくまでの時間)
  • \( \tau_f \)​ : 流体の特性時間(流体の動きにかかる時間)

この定義から、ストークス数が「粒子が流体の流れに適応するまでの時間と、流体の動きにかかる時間の比率」であることがわかります。

CAEにおける重要性

CAE(Computer-Aided Engineering)解析において、ストークス数は特に粒子追跡シミュレーションで重要な指標となります。適切なストークス数を設定することで、粒子が流体内でどのように振る舞うかを正確に予測でき、結果として解析の精度が向上します。

例えば、ストークス数が1以下である場合、粒子は流体の動きに敏感に追従し、流れと同調した挙動を示します。一方、ストークス数が1を超える場合、粒子は自身の慣性に従い、流体の流れから遅れて動き始めるため、特定のシミュレーションでは異なる動作が観察されます。

物理的意味合い

ストークス数の物理的意味は、粒子が流体の流れに対してどれだけ迅速に反応できるかを示すことです。流体力学において、ストークス数が小さい場合、粒子は流体の一部として動きますが、ストークス数が大きいと、粒子の慣性が支配的になり、流体の動きとは異なる軌跡を描きます。これは、エアロゾルの分散や沈降、燃焼時の粒子の挙動など、多くの現象において重要な役割を果たします。

まとめ

ストークス数は、流体力学やCAE解析における粒子の運動を理解するための重要な無次元数です。粒子が流体の流れにどの程度追従するかを示すこの指標は、シミュレーションの精度や安定性に直結します。解析の目的や対象とする現象に応じて、ストークス数を適切に設定することが、正確な結果を得るために不可欠です。

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