撥水性と親水性を表現する方法:VOF法【解析事例】

解析事例

VOF法(Volume of Fluid法)を用いた流体解析では、接触角の設定によって撥水性や親水性を表現することが可能です。

本記事では、異なる接触角を設定した壁面を用意し、水がどのように挙動するかを解析する手法について紹介します。

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VOF法と接触角

VOF法は、二相流の界面を追跡するための計算手法です。この方法を使用することで、液体と固体の接触角を変更し、流体がどのように振る舞うかをシミュレーションすることができます。

接触角が小さい場合、流体は固体表面に広がりやすくなり(親水性)、逆に接触角が大きい場合、流体は固体表面から離れる傾向があります(撥水性)。

解析情報

今回の解析では、接触角が異なる二つの境界を設定し、それぞれの壁面に対して水をゆっくりと溜めていく様子をシミュレーションします。使用した接触角は、45度と160度です。

基本情報

  • ソフト:SIEMENS STAR-CCM+
  • モデル:3次元フルモデル
  • セル数:約120万セル

物理モデル

  • 手法:VOF法(Volume of Fluid)
  • 時間ステップ幅:5E-4 秒
  • 内部反復:5
  • 流体:圧縮性流体(IAPWS-IF97(水)、非圧縮性気体)
  • 表面張力:0.072 N/m
  • 接触角:45 度、160 度
  • 流れ:分離型流れ
  • 乱流モデル:RANS、K-εモデル
  • 重力:自重による液滴生成と落下を考慮
表面張力の詳しい説明はこちら

境界条件

  • 入口境界条件:流量入口(質量ベース)

解析結果

水がゆっくりと溜まる過程において、接触角45度の境界では水がその位置に留まることが確認できます。
さらに時間を進めていくと、表面張力と接触角のバランスが崩れ、水が接触角160度の境界に侵入する様子が観察されました。

この結果からもわかるように、VOF法を用いることで、境界ごとに接触角を変更し、親水性と撥水性をシミュレーションで再現することが可能です。なお、入力する接触角については、測定値や論文で得られた値を参考に設定することを推奨します。

まとめ

今回のシミュレーションを通じて、接触角の設定が流体の挙動にどのように影響するかを確認しました。

VOF法による接触角の変更は、撥水性や親水性の表現をシミュレーションで行うための有効な手法です。解析においては、正確な接触角の設定が重要であり、信頼性の高いデータを基にした設定が求められます。

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