亀井・平岡の式とは
亀井・平岡の式は、撹拌装置の設計や性能評価に役立つ計算式です。
特に邪魔板(バッフル)なしでのパドル翼や傾斜パドル翼、スーパーミックスHR320・HR320Sなどの装置で使用され、撹拌翼の動力数を算出するために用いられます。
この式を用いることで、撹拌槽の設計や性能改善に必要な動力数を簡単に計算することができます。
亀井・平岡の式(動力数)計算ツール:大型翼への適用
亀井・平岡の式は、小型翼であるパドル翼を基に作られましたが、大型翼にも利用できます。
特に大型の撹拌翼を設計する際には、撹拌液の粘度や密度、羽根の枚数、翼の角度などを適切に考慮することが重要で、亀井・平岡の式を使用することで、より正確な設計が可能になります。
以下に、大型翼への適用方法を示します。
計算ツールの使い方
この計算ツールを使えば、複雑な計算を自動で行い、瞬時に動力数を算出します。
必要なパラメータを入力するだけで、以下の式に基づいて動力数を計算できます。
ステップ 1: パラメータの入力
計算ツールに以下のパラメータを入力します:
- 撹拌翼の直径 \( d \) [m]
- 撹拌槽の直径 \( D \) [m]
- 液深さ \( H \) [m]
- 密度 \( \rho \) [kg/m³]
- 粘度 \( \mu \) [Pa·s]
- 回転数 \( n \) [1/s]
- 羽根枚数 \( n_p \)
- 羽根取付け角度 \( \theta \) [度]
- 翼幅 \( b \) [m]
ステップ 2: 「計算」ボタンをクリック
必要なパラメータを入力した後、「亀井・平岡の式で動力数を計算」ボタンをクリックします。
ステップ 3: 結果の確認
計算結果として、動力数 \( N_{p0} \) が表示されます。
この数値は、撹拌装置の設計や性能分析に役立ちます。
アンカー翼
亀井・平岡の式はバッフル(邪魔板)を取り付けていないパドル翼に対して導き出されました。
翼角度 \( \theta \) を代入することで傾斜パドルへも利用できます。
動力数 \( N_{p0} \):
ヘリカルリボン翼
ヘリカルリボン翼の場合、一部の変数を変更することで亀井・平岡の式を利用できます。
動力数 \( N_{p0} \):
マックスブレンド、スーパーミックスMR205、フルゾーン
亀井・平岡の式は、メーカー各社が提供する大型オリジナル翼にも転用できます。
各製品では、タンクの底形状や使用する撹拌翼により、変数 \( C_{t} \) の値が変化します。
以下に、各社の式を示します。
- マックスブレンド(住友重機械プロセス機器)
- スーパーミックスMR205(佐竹マルチミクス)
- フルゾーン(神鋼環境ソリューション)
マックスブレンドおよびスーパーミックスMR205:皿底槽
動力数 \( N_{p0} \):
マックスブレンドおよびスーパーミックスMR205:平底槽
動力数 \( N_{p0} \):
フルゾーンの変数:皿底槽
動力数 \( N_{p0} \):
フルゾーンの変数:平底槽
動力数 \( N_{p0} \):
翼の板厚も考慮する場合(傾斜パドル翼)
板厚を考慮する場合は、翼幅の項 \( b \sin \theta \) を見かけの翼幅 \( b \sin \theta + \delta \cos \theta \) に変更して亀井・平岡の式を使用します。
見かけの翼幅 :
円筒以外のタンク形状の場合
球状タンク
もしタンク形状が円筒状ではなく球状の場合、槽径Dに見かけの円筒槽直径を使うと計算できます。
必要なパラメータを入力するだけで、球形槽直径から見かけの円筒槽直径を計算することができます。
見かけの円筒槽直径 \( D_a \) :
計算ツールが役立つ場面
この計算ツールは、以下のような場面で特に役立ちます。
- 撹拌槽の設計: 大型の撹拌翼を使った撹拌槽の設計において、動力数を事前に予測することで、効率的な設計が可能になります。
- 撹拌プロセスの最適化: 液の粘度や密度が変化するプロセスでは、最適な動力数を見つけることで撹拌効率を向上させることができます。
- 試験設備の計画: 試験設備の撹拌条件を調整する際、このツールを使って適切な条件設定をサポートします。
まとめ
撹拌槽の設計や撹拌プロセスの最適化を行う際に、この動力数計算ツールを活用することで、計算の効率が大幅に向上します。
亀井・平岡の式に基づく正確な計算が手軽にできるこのツールを、ぜひお試しください!
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