吉本興業が、今年6月に文藝春秋オンラインサービス『文春オンライン』で報じられた”霜降り明星・せいやのZoom事件”に関して、プライバシー侵害と名誉毀損(きそん)に当たるとし東京地裁に提訴したことを公式ホームページで発表しました。
当時、霜降り明星・せいやさんがWeb会議システム「Zoom」で女性と会話しながら下半身を露出し、自慰行為を見せたなどと文春に報じられたことは非常に話題となりました。
芸能人のスキャンダルとしても個人の尊厳を非常に傷つける、リベンジポルノともとれる極めて悪質な記事だっただけに「到底看過できない極めて悪質なもの」とする吉本興業サイドの提訴も納得がいきます。
いったいいくらの損害賠償請求の金額となるのでしょうか?
過去の芸能人、著名人の名誉棄損に関する訴訟事例もまとめていますので、興味のある方はぜひ最後までお付き合いください。
追記(2020/10/22)
吉本興業、霜降り明星・せいやさんの提訴に対して、文春オンラインも自身のホームページ上で”Zoom事件”記事の公開を終了した理由などに関してコメントしましたので、最新情報を下記の記事に追記アップデートしました。
霜降り明星せいやと吉本興業が文芸春秋を名誉毀損で提訴
吉本興業は10月21日、今年6月に文藝春秋オンラインサービス『文春オンライン』で報じられた”霜降り明星・せいやのZoom事件”に関して、プライバシー侵害と名誉毀損(きそん)に当たるとし東京地裁に提訴したことを公式ホームページで発表しました。

Ⓒ吉本興業株式会社
吉本興業からは
プライバシー侵害を理由として本件記事の削除を求める仮処分命令を東京地方裁判所に申し立てておりました
と既に、プライバシー侵害を理由として記事の削除を求める仮処分申請を東京地裁に申し立てていることを明かし、そして文芸春秋が、
10月18日、裁判所の決定を待たずに、本件記事は削除されるに至りました
と当該記事を削除したことで仮処分申立ても取り下げたことも発表しています。

文春オンラインから削除された問題の記事、スクリーンショット

Ⓒ文春オンライン
該当記事は既に削除されていました
しかし吉本興業の怒りはこれでは収まりません!吉本興業は、
当社及び本件タレントとしては、本件記事は削除されたとはいえ、その内容は到底看過できない極めて悪質なものであり、本件タレントのプライバシー及び名誉を著しく毀損するものである
としたうえで、
東京地方裁判所に対して損害賠償請求等を求める訴訟を提起いたしました。
と裁判で争う決断をしました。
文春オンラインの見解(2020/10/22追記)
文春オンライン編集部も10月22日、自身のホームページ上で、
訴状が届き次第精査しますが、記事には十分自信を持っています。本件記事は吉本興業の求めや仮処分を受けて取り下げたのではなく、弊社の内規に従って予定通り公開を終了したものです。
引用元 文春オンライン
とコメントを発表、決して吉本興業の仮処分命令に屈したものではないとして徹底的に争う姿勢を見せています。
加えて文春オンライン編集部は自身の見解として、
ファンである一般女性にとって、せいやさんとZOOMで直接話ができることは夢のようなことであるため、せいやさんの性的な行為に多少の不快感を覚えたとしても、即座にZOOMを終了すれば二度と話ができなくなってしまうことに、女性は戸惑っていました。
と女性は霜降り明星・せいやさんのファンであるが故にZoom飲み会中でのせいやさんの態度の急変にはすぐに対応できなかったとして、
せいやさんが行ったことは、ファン心理を利用した不適切行為だと言えます。
とあくまでもせいやさんの行為が元凶であるとしています。
また文春オンラインが報じた記事内容自体についても、
SNS等を通じて簡単に芸能人とファンが繋がれる時代において、国民が芸能人とファンの関係性やあり方について考える上で、必要かつ有益な情報であると考えます。
また、コロナウイルス感染症の拡大により急激に利用が増加したウェブ会議システムが孕む危険性を公衆に広く知らせる意味でも、有意義な内容と考えております。
とコメントしており、決して個人を貶(おとし)めるためはなく社会的に意味のある記事だと主張しています。
ネット上の声
ネット上では、
[word_balloon id=”1″ size=”M” position=”L” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_hide=”true” balloon=”talk” balloon_shadow=”true” font_color=”#222222″]男女逆だったらどうなってたかを考えれば、この記事の悪質さがわかるものね。
こんなのは報道じゃない。犯罪としてしっかり処分が下されることを願うばかり。[/word_balloon]
[word_balloon id=”1″ size=”M” position=”L” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_hide=”true” balloon=”talk” balloon_shadow=”true” font_color=”#222222″]いくらこの記事が削除されたとしても、もうイメージがついてしまったことには変わらないので、訴えるのは会社としては正しいと思う。[/word_balloon]
[word_balloon id=”1″ size=”M” position=”L” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_hide=”true” balloon=”talk” balloon_shadow=”true” font_color=”#222222″]謝っただけで済ませてはならない。電車の中吊りやTVCMでも1ヶ月間おわびの広告を出させるくらいしないといけない。これくらいしないと、週刊誌も本気で間違いを改めず、適当な記事ばかり載せるようになる。[/word_balloon]
[word_balloon id=”1″ size=”M” position=”L” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_hide=”true” balloon=”talk” balloon_shadow=”true” font_color=”#222222″]これは本当に悪質だった!
そもそもせいやさんは独身だし悪いことをしたわけではない。
普通にはずかしめを受けただけ。
男女逆なら大問題だし[/word_balloon]
[word_balloon id=”1″ size=”M” position=”L” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_hide=”true” balloon=”talk” balloon_shadow=”true” font_color=”#222222″]報道の自由といっても出鱈目でも何でもOKみたいなことはいけないし、本当だとしてもここの所の仕打ちは人間否定しているぐらいに見える。いじめを尊重するようなことはやめた方がいい。暗い世の中になるばかりだ。[/word_balloon]
[word_balloon id=”1″ size=”M” position=”L” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_hide=”true” balloon=”talk” balloon_shadow=”true” font_color=”#222222″]文春の編集長もなんで、この記事でGOだしたんかが本当に理解出来ん。
賠償金払ったとてネットには永遠残り続ける画像と記事、つらいでしょ。[/word_balloon]
など、今回の吉本興業の提訴に対して「当然!」と声を上げるコメントが多く、このような個人を貶(おとし)めるような悪質な内容の記事が二度と出てこないように裁判所には厳しい判決を文春に下してほしいといったコメントがほとんどを占めていました。
霜降り明星・せいやさんもこの記事のインタビューを文春関係の記者に求められた当時の状況をラジオで「複数いきなり夜の闇から複数人出てきて、いきなり写真を見せてきて、これせいやさんですよね?みたいな感じで迫ってきた」と語っており、文春の行き過ぎた取材だったのではないかも問題になっていましたね。
紙媒体の記事に比べるとネットの記事は”アクセス稼ぎ”のためか、過激で悪質なものが多いように見受けられるのは私だけでしょうか?
いづれにしてもこのようなプライバシー侵害や名誉棄損にあたるような報道が是正して欲しいと思います。
霜降り明星・せいやと吉本興業、損害賠償の金額はいくら??
現時点で吉本興業サイドからは損害賠償請求額に関する正式な発表はなされていません。
しかし過去2011年10月には、元吉本興業所属タレントの島田紳助さんと吉本興業が共同で、週刊現代10月15日号に掲載された「切っても切れない『島田紳助と暴力団』」との記事について講談社に対して損害賠償1億6500万円を請求していました。

元・吉本興業所属の島田紳助さん
他にも、雑誌などの報道により名誉毀損で訴える芸能人や著名人は多く、
- 2000年、元プロ野球選手の清原和博さんは『小学一年生 入学準備号』(小学館)で子供たちに間違ったイメージを植え付けられたとして損害賠償5000万円を請求
- 2002年、芸能プロダクション・ジャニーズ事務所当時のジャニー喜多川社長が、週刊文春が喜多川社長が事務所に所属する少年らに対してわいせつ行為を繰り返しているなどと報じたことに対して損害賠償1億700万円を請求
- 2008年、日本相撲協会と北の湖(きたのうみ)前理事長が、八百長疑惑を報じた週刊現代の記事で名誉を傷つけられたとして発行元の講談社に損害賠償請1億1000万円を請求
- 2009年、楽天の三木谷浩史(みきたに・ひろし)社長らが新潮社に対して名誉棄損で損害賠償計14億8000万円を請求
- 2013年、吉本興業の漫才師・中田カウスさんが週刊現代(講談社)の記事で暴力団と関係を持っているような誤った報道がなされたことに対して損害賠償5500万円を請求
- 2014年、当時の橋下徹(はしもと・とおる)大阪市長が『週刊文春』の特集記事で「ソープ接待にご満悦 橋下徹と風俗街の”深イイ関係”」や風俗店に関する性的表現など、事実無根の内容を報じたとして、文芸春秋に損害賠償1100万円を請求
など、過去の事例を見ても損害賠償請求額については数千万円から数億円に上ります。
しかしかなり高額の請求ですが、こんな金額を週刊誌の会社はホイホイと支払えるのものなのでしょうか?
いいえ、実は裁判所で下される実際の認容額は請求額よりもずっと下回ります。
実際の損害賠償支払い額は?
元吉本興業所属タレント・島田紳助さんは小学館に損害賠償1億6500万円を請求していましたが、裁判所は小学館に対して1045万円の支払いを命じました。
実際の請求認容額は請求額の10分の1以下と大幅に減額されています!
その他の芸能人も例外ではありません。
- 2000年、元プロ野球選手の清原和博さん
損害賠償請求5000万円→認容額1000万円(その後の控訴審で600万円まで減額) - 2002年、ジャニーズ事務所のジャニー喜多川社長
損害賠償請求1億700万円→認容額880万円 - 2008年、日本相撲協会と北の湖(きたのうみ)前理事長
損害賠償請求1億1000万円→認容額1540万円 - 2009年、楽天の三木谷浩史(みきたに・ひろし)社長ら
損害賠償請求14億8000万→認容額計990万円 - 2013年、吉本興業の漫才師・中田カウスさん
損害賠償請求5500万円→認容額220万円 - 2014年、橋下徹元大阪市長
損害賠償請求1100万円→認容額220万円
どの事例を見ても、実際の認容額は1人あたり1000万円前後かそれを下回ることが多く、このあたりが名誉毀損行為によって社会的評価が下がった場合の相場であることが分かります。
このたびの文春の報道によって、一部の視聴者が霜降り明星・せいやさんに対して「気持ち悪い」といったような不快感を感じるイメージにつながってしまったことは事実であり、せいやさん自身も報道後は、
「せいやは報道前後から食事でも味を感じなくなり、寝られない日々が続いていたことを告白。これがきっかけで仕事を続けられなくなるという不安に陥り、楽屋で『今までありがとう』と言って粗品やマネージャーと何度も握手したり、仕事終わりに粗品が乗ったタクシーの後ろ姿を“これが最後かもしれない”という思いで見送った日もあったそうです」
引用元 exiteニュース
とかなり大きな精神的ダメージを追っていました。
「芸人として面白いネタができたじゃないか」とポジティブに捉える方もいらっしゃるかもしれませんが、Zoomでの一幕はあくまで個人的なことであり、それをネタに報道をした文春も、また文春にそのネタを提供したとされる女性も、せいやさんのプライバシーを大きく侵害したことには間違いありません。
吉本興業、霜降り明星・せいやが負ける可能性も!?(2020/10/22追記)
先に記載の通り、文春オンラインは吉本興業、霜降り明星・せいやさんからの訴えに対して徹底的に裁判で争う姿勢を見せています。
文春オンラインが記事の正当性を主張する理由としては、
- 記事に書かれた「Zoom上で性的な行為を行った」ことは事実
- 相手女性はせいやさんの行為に不快感を覚えて、戸惑っていた
- しかしファンであるが故に断れない女性の弱みを、せいやさんは利用した
- ”芸能人とファンの関係性のあり方”や”ZoomやTeamsなどのウェブ会議システムが孕む危険性”を広く伝えるという意味で、公共性や公益性はあった
として、名誉毀損で罰せられることではないと主張しています。これは刑法230条の2第1項にあたります。
<↓刑法230条の2第1項について詳しくはコチラ>
名誉毀損罪は、摘示した事実が真実であっても成立するのが原則です。 しかし、例外として、「公共の利害に関する事実(公共性)に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ること(公益性)」であることに加え、その内容が「真実」であることが証明出来れば、名誉毀損罪で罰しないこととされています(刑法230条の2第1項)。
引用元 デイライト法律事務所
簡単に言いますと、文春オンラインが発する日々の記事が私たち国民にとってどれだけ役に立っているのかに関して、その社会的活動に対する評価が裁判のポイントになってくると考えられます。
吉本興業サイドと文春オンラインサイド、それぞれに顧問弁護士が付いているはずですので、法廷でどういった激論が繰り広げられるのかが注目されると思います。
また吉本興業サイドは”名誉毀損”だけでなく”プライバシー侵害”でも訴えをしていますので、その点も気になります!
Kojiの一言
以上、吉本興業と霜降り明星・せいやさんの文芸春秋を提訴したニュースに関して、
- いくらの損害賠償請求の金額となるか?
- 実際に文芸春秋から支払われる損害賠償の金額は?
- 過去の芸能人、著名人の名誉棄損に関する訴訟事例
をまとめました。
これから裁判が進んでいくと思われますが、昨今の行き過ぎた過熱報道をのお灸を据える意味でも吉本興業がくだした判断は正しかったのではないでしょうか。
裁判でも公平に、正しい判決が下されることを願っています。
私もその動向をウォッチしつつ最新情報を追っていきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。



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